「ラーニングアジリティ(学習機敏性)」・全国高校生マイプロジェクト長野 summit 回顧録③
前回の続きです。
今回も松本工業高校の子達から学んでいきましょう。
☆やってみる習慣が成長を加速化させる
zoomのブレイクアウトルームに分かれて対話をしていた時でした。
彼らは同じグループの長野日大高校メンバー達が、部活(ボランティア・クラブ)で「シトラスリボンを配っていて・」という話が出た時に、
「なんかそれ出来そう」
と反応し、翌日に待っているマイプロの発表作業と並行しながら、わずか1時間くらいでそのサンプルを
「作ってみました~」
と持ってきてみんなを驚かせました!
シトラスリボンはコロナ禍で生まれた差別、偏見を耳にした愛媛県の有志の方々が愛媛特産の柑橘にちなみ、シトラス色のリボンや専用ロゴを身につけて「ただいま」「おかえり」の気持ちを表す活動として広めています。
*リボンの3つの輪は、地域、家庭、職場(もしくは学校)の3つを表現しています。
☆イノベーションと本当の集合知
この瞬間、小さなイノベーションが起きあがったんですよね。
大人はそこを感じ取れるセンスがあるかどうか。どうですか?
ここは重要なポイントです。
シトラスリボンそのものは多いんですけど、今のところほとんどのリボンが【出来ているものを人が合わせる】という仕様でしょう。
けれど、彼らがここで示したのは、いろんな状況、いろんな職種の人が自分に合ったサイズ、質感をチョイス出来る。つまり【1人1人にリボンをあわせるプロダクト】という可能性といえます。
例えば、動き回る看護師さんには取れにくくて、耐久性があるようにとか。高校生にとってはカバンにつけやすく、通学の時に見えやすいようにとか。
それぞれのニーズにあわせたサイズに調整できるでしょう(知事のリボンが大きすぎな感じがしましたので、ぜひ彼らに発注されてはいかがでしょうか?)。
実際、Googleの人材開発などで著名なピョートルさんは、よい集合知を得るには「実験主義」でなければいけないと。それは、
「とりあえず、こう作ってみたんだけど、どう思う?」
とメンバーに聞いてみて、その試作品をディスカッションし、フィードバックから改善していく。その方が断然速いのだと教えてくれます。
そして、これこそが「集合知」なのだとも伝えてくれています。
ですよね。
まさに彼らは、集合知によるプロトを開発し、場に持ち込んでみんなの意見を聴く。Googleさながらの考え方(Mindset)と行動をしてのけたわけです。
☆ラーニングアジリティ(学習機敏性)
松本工業高校の4人の強みってまさにこの言葉なんですよね。
①経験からいち早く学ぶ
②学んだ事を異なる新しい環境で活かし、成果を出す。
成長意欲を持って①と②の連続行動を繰り返すことにより、成長曲線を一気に駆け上がっていく。
そんなラーニングアジリティをチームで体現した高校生達と言えるでしょう。ですから、次のブレイクアウトルームで彼らが希望したメンターは、
「世の中の事をよく知っている人」
でした。
なるほどと思った僕は「例えば?」と問いかけていきました。すると、
「自分達は工業高校の中にいて、流行とか社会がどうなっているかとかあまりにも知らないんですよね。だから、そういう世界を教えてもらいたいです」
という内容の言葉で伝えてくれました。
こちらは聴きながらも、本当にこの子達はどこまで行くんだろうとドキドキする感覚です。
今、シトラスリボンのプロトを作りあげたばかりなのに、もう次の新しい世界に接して、何かを生み出そうとしている。
その為にしっかりと謙虚に自分達の現在地をみつめ、自分達にないものを持っている誰かと触れ合おうとしている。そんな「多様性」あふれる環境で、彼らはきっと新しい何かを生み出し、貢献し、自身もまた成長させていくことでしょう。
そんな世界に生きていこうとする彼らの姿は、本当に輝しく感じたのです。うん。今振り返っても、また感動が来るような瞬間でした。
そして、彼らにふさわしいマッチングをしてくれた彼らの良きお姉さん的存在でもある、なおちゃん(マイプロ出場経験のある大学生)にも感謝をと。
*参考
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