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映画「The Long Goodbye」を観て想い出す、日本のTVドラマ「探偵物語」と「傷だらけの天使」;ネタバレ皆無

レイモンド・チャンドラーの小説「ロング・グッドバイ」は村上春樹訳が出版されているらしい。比喩やウィットの効いた表現が多い作家は和訳が難しいだろうな、と思う。

先週(少年と犬⇓)に続き、来月閉館予定の今池・シネマテークに出かける個人企画の第三弾。

名古屋シネマテークでは、「ロバート・アルトマン傑作選」として、監督の3作品を交代で上映しています。
① ロング・グッドバイ(1973年)
② イメージズ(1972年)
③ 雨にぬれた舗道(1969年)
代表作「ロング・グッドバイ」からちょうど50周年というのが、この「傑作選」の企画動機のようです。

さて、「ロング・グッドバイ」はチャンドラーのハードボイルド小説で私立探偵Philip Marloweが活躍する代表作ですが、映画の内容はビデオなりWikipediaなりで見ていただくとして、今回は、この映画に影響を受けた可能性のある日本の探偵モノを語ります。

1974-75年に日本テレビ系で放映された、萩原健一・水谷豊主演の「傷だらけの天使」と、1979-80年に同じ系列で放映された松田優作主演の「探偵物語」です。

後者「探偵物語」は実際、松田優作が「ロング・グッドバイ」にインスパイアされてできたそうです。
確かに彼の演じる工藤探偵事務所の工藤俊作はくわえ煙草や皮肉ジョークなど、所作が映画中のフィリップ・マーロウに似ています。

「探偵物語」のオリジナルとしては、主人公が乗るスクーターVESPAが人気でしたね。それまでスクーターといえば、女性か出前持ちの乗るバイクでした。

「ロング・グッドバイ」ではエリオット・グールド演じる探偵マーロウはビルの屋上にあるペントハウスに住んでいます。
工藤探偵事務所も汚い建物の最上階にありましたが、ペントハウスと呼べる代物ではない。

一方、「探偵物語」より5年前に放映された「傷だらけの天使」で、探偵事務所「綾部情報社」の調査員・木暮修(ショーケン)が住むのは、エンジェルビルの屋上にあるまさにペントハウスで、これも探偵マーロウを意識していると思われます。
初期は毎回ヌードシーンが織り込まれていたのも、「ロング・グッドバイ」と共通点があり、これが問題となって視聴率を落としたそうです。

ショーケンと、探偵事務所の弟分・アキラ(水谷豊)のコンビが絶妙で、特に水谷豊が身をよじりながら、
「アーニーキー」
と呼ぶ「習慣」は独特で、とても新鮮でした。

撮影に使われたペントハウスは代々木駅隣にある雑居ビル「代々木会館」。ペントハウスは東日本大震災で倒壊したそうです。会館自体も老朽化のため、2019-20年に解体されたとのこと。

さて、探偵小説はホームズ、ポアロ、明智小五郎の時代から人気です。
私も30代の頃、書きかけたことがありました。主人公や取り巻く人びとのキャラクターを考えるのは楽しいのですが、具体的な事件に入ると、どうもいけません……。

今は私立探偵って、どんなイメージなんでしょうか。
素行調査、浮気調査から、それこそ「別れさせ屋」のようなグレイなイメージになってしまっているのかもしれません。

斬新な探偵像を考えると、面白いものが書けるような気もするのですが……。

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