ブルシット・ジョブの黄昏に
聖書の神が実在なさり、
今の現実の根底や背景に「真の現実」があるのならば、
この世での人生が唯一の人生ではなくなります。
そして、神の召しに応えてなされる
すべてのよい努力=Every Good Endeavorが
(最も簡単なものさえ)、永遠に重要なものとなる。
これこそ、キリスト教の信仰が約束していることです。
――――『この世界で働くということ』ティモシー・ケラー 37頁
▼▼▼日本の凋落▼▼▼
大変な時代である。
日本は確実に凋落しつつあり、
腐敗を通り過ぎて「悪性の発酵」をしている。
酢のような異臭を放ちながら、
醜態をさらし続けている。
第二次安倍政権ぐらいから10年、
この流れは加速して減速することを知らない。
「魚は頭から腐る」という言葉の通り、
この国の指導者たちは、
クズを優先的にピックアップして昇進させたのかと思うほど、
僕たちを呆れ果てさせ続けてくれている。
この国では恥知らずにしか重要なポストは務まらないのだろうか。
恐らく個人の資質というより、
構造的な問題なのだろうと類推するし、
内部にいる人々は主観的には「誠実」なのだろう。
それでもこの国の中枢部に、
僕たちは驚き疲れた。
嘘とごまかしが常態化し、
言葉の意味を破壊し続ける、
この国の富や権力を差配する立場にある面々に、
僕たちは呆れ疲れ、
失望し疲れ、
噴飯し疲れ、
怒り疲れた。
疲れ果てて、多くの人が無関心になる。
人間は「呆れた状態」を長期間、持続していられない。
この無関心と諦めには名前が付いていて、
「政治的シニシズム」と呼ぶ。
この状況が続くならば、
そして結果的に経済的にも凋落が続くなら、
僕は次の戦争が起こる危険性は極めて高くなると思う。
「予言者」として言っているのではない。
歴史を参照するとそう考えられる、
と僕は言っているのだ。
偉大な歴史家のE.H.カーが、
「歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である」
と言っている。
経済の不調と戦争って関係あるの?
あるに決まってる。
過去を参照するとそういうことになる。
ナチスドイツが開戦に踏み切ったのは、
第一次大戦の膨大な賠償金(ベルサイユ条約)で、
ドイツ経済がじり貧になり、
ハイパーインフレが起きた結果、
「これは一発逆転しかない」
というところまで追い込まれたからだ。
日中戦争に深入りした日本は、
国際連盟からの警告や、かの「ハルノート」も無視し、
現在のロシアのような状態になってしまった。
松岡洋右外務大臣は国連会議で席を蹴って国際社会から孤立し、
制裁としての「ABCD包囲網」により石油が買えなくなり、
完全に「詰んだ」日本は、
真珠湾攻撃という暴挙に出た。
「詰んだ国」は何をしでかすか分からない。
だから、人でも国でも、
「立つ瀬がないほどに追い詰めてはいけない」のだ。
戦争を避けるには、
櫻井よしことかいう御仁がいうように、
「国家のために若者が死ぬ覚悟」が重要なのではない。
勘弁してくれ。
冗談も休み休み言え。
戦争を避けるには、国が「まとも」である必要があるのだ。
政治が機能し、分配が正常に働き、
国の中の人的資源が最大化され、
言い換えれば皆が納得感をもって幸せに働き、
結果として経済が好調である、
あるいは安定している必要がある。
櫻井よしこやその取り巻きのような、
兵器と兵士だけが国防と思っている、
「脳内常時戦争人間」に欺されてはならない。
そういう輩に限って自分自身とその親族は、
戦場で死ぬ兵士のひとりにカウントされていない。
安全圏から危険を煽る人間の言うことを聞いてはいけない。
そうじゃない。
政治も教育も福祉も農業も工業もエネルギー政策も、
全部「国防」なのだ。
じっさい、ヨーロッパ諸国は、
農業を国防に位置づけている。
だから採算性と関係なく、
欧州諸国の食糧自給率は軒並み100%に近いか、
それを超えている。
政治が腐敗し、経済が停滞し、社会が混乱すると、
人は「好戦的なカリスマ」を潜在的に求める。
それが過去のヒトラーで、
現在のプーチンでしょ。
魚が頭から腐っている状態、
というのはだから、
戦争の足音が遠くに聞こえる状態、
とも言える。
歴史がそう教えている。
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