2018年大河ドラマ、「西郷どん」愛を熱く語る! 振り返る!
こんにちは、写真詩作家の辻本瞬です。
普段は、写真にキャッチ―な言葉を添えた作品、「写真詩」を発信しています。プロフィールや作品につきましては下記リンクをご参照下さい。
さて、タイトルの通り今年の私を盛り上げてくれた大河ドラマ、「西郷(せご)どん」について語っていきたいと思います。
トップ画像は、「日本の夜明け」をイメージして少しそのような写真を選んでみました。
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何を隠そう九州出身の私、西郷さんが大河ドラマになると聞いてトキメキまして、今年はコンプリートの如く全回もれなく拝見しました。
「ドラマとして」と言う部分と「史実として」と言う部分、入り混じってしまうかもしれませんが、どうぞお付き合いの程をよろしくお願いします。
尚、NHKの公式サイトは以下でございます。大いに参考にさせて頂きました事を、この場をお借りして御礼申し上げます。
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「せごどん」とは、「西郷さん」を地元の方が親しみを込めて呼ぶ呼び方だそうです。
薩摩の言葉だと母音が縮まる事は良く有るみたいですね。
「だいこん」も「でこん」となるみたいです。
今年の大河でまず特筆に値するのは、その徹底した「薩摩言葉の再現」が一つ挙げられましょう。
私の周りのネイティヴ薩摩弁スピーカーも、
「役者さんは良く頑張っている」
と絶賛していました。
主演の鈴木亮平さん始め、キャストの皆様はご苦労なさった事をインタビュー等で打ち明けていらっしゃいます。
同じ九州出身でも福岡の博多華丸・大吉さんが、
「僕らでも薩摩言葉は難しい」
と仰っていたので、そのハードルの高さが窺えます。
私は六月辺りから、「字幕付き・副音声有り」で観るようになりました。
一つには薩摩や長州、土佐の言葉を知りたかったからですが、もう一つは登場人物を詳しく知りたかったからです。
西郷どんの身近にいた海江田、大山、村田等の面々は字幕付きで観たからこそ個人識別がし易くなったと思います。
また、ドラマを邪魔しないよう、囁かれるように挿入される副音声にも助けられました。
朝ドラでは情緒たっぷり、時にはコミカルに入る副音声ですが、大河ドラマでは飽くまでも主役は歴史ドラマ、と言った製作者の姿勢が反映されていたと思います。
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オープニングの美しい映像は毎回癒されましたね。
音楽は耳コピですが殆どピアノで弾けるまでに覚えてしまいました(笑)。
薩摩を象徴する桜島は勿論の事、山深い道、奄美を思わせる海、鯨や海亀まで。
大らかなイメージのある西郷どんにはぴったりの映像でした。
西郷どんが島に流されるとオープニングの音楽の中でも
「ア~~ア~~」
で表現されていた部分が島の言葉の歌詞に代わりましたね。
できれば、字幕と意味付きで放送して頂きたかったです!
島の言葉は全くの異文化と言うか、本編でも字幕が表示されたりしましたが薩摩ともまた違った言葉なので、より深く知りたくなりました。
明治編に入ってからのオープニング映像では、素朴な出で立ちの西郷どん、西洋の服に身を包んだ大久保、その二人がすれ違うと言う演出が二人の運命を象徴するようでした。
素晴らしかったです。
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語りの西田敏行さんが
「今宵はここらでよかろかい」
「西郷どん、気張れ!」
「チェスト―!」
等と語りかけるナレーションで毎回物語が一段落し、それが何かこう、激動の時代を生き抜いた西郷どん達を温かく見守るようで何とも言えずほっとしました。
物語終盤、その語りが実は、西郷どんの息子・菊次郎の立場から成されていた事が明かされ、そのサプライズは私に取って嬉しい驚きでした。
また、闘いの続く血なまぐさいシーンも多かったのですが、毎回本編の後に続く「遺跡巡り」コーナーも良かったです。
「歴史に出てくるあの舞台が、今はこんな姿になっている」
と静かに紹介されるこのコーナー。
激しいドラマからひと息ついて日常生活に戻るワンクッションになってくれました。
島津アナウンサーの丁寧な解説、彩る音楽はサラ・オレインさん、山崎育三郎さん、竹原ピストルさんとこちらも豪華でした。
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所で、「南洲翁遺訓」と言う本をご存知ですか?
西郷隆盛の言葉を元庄内藩有志がまとめた本で、西郷どんの思想を現代に伝える貴重な資料として今も読み継がれています。
NHKのEテレ、「100分de名著」と言う番組では、2018年1月にこの本を「今月の名著」として紹介し、特集していました。
今もNHKオンデマンドで観られると思いますので、ご関心のある方は下記リンクをチェックされてみて下さい。
これを読むと、「西郷隆盛」が今の日本人にとってもはや古典となり得ている事が窺えます。
例えば、司馬遼太郎は西郷隆盛を
「維新後の青写真を持たなかった人物」
と非難しています。
逆に三島由紀夫は、西郷隆盛を
「革命の英雄」
と賛美しました。
「西郷隆盛」をどう評価するかが、その発言者を言わばリトマス試験紙のように「色分け」する材料になっていると言えそうです。
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幼い頃、右肩に刀傷を受けた西郷どん。
その影響で、薩摩隼人であるにも拘らず刀を握る事が出来なくなりました。
「殿」、島津斉彬公から小刀を貰い受けましたが、実際に大きな刀を振るうシーンはほぼ無かったと思います。
最後、西南戦争では銃を撃つ西郷どんのすがたが描かれましたね。
鹿児島出身の人に伺うと
「右肩に刀傷を受けたのは本当だ」
との事でした。
そう言えば、「殿」と対面する相撲のシーン、あれは大河ドラマ「西郷どん」ファンの間では語り草になるような良いシーンでしたが、まわし姿の西郷どんの右肩にはちゃんと傷跡がありました。
こんな事で「芸が細かい!」と驚いたらスタッフの皆様に叱られるかもしれませんが、でも言わせて頂きます。
芸が細かかったです!
素晴らしい!
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征韓論を巡って大久保と袂を分かつ事となった西郷どん。
その舞台裏については色々言われている様です。
朝鮮国へ西郷どんが使節として派遣されるかどうか、と言う場面が出てきましたね。
実際の所、西郷どんは朝鮮国に一人で出向き、殺されても良いと考えて居た節があります。
戦争の大義名分が出来るからです。
少し恐ろしい思想ですね。
この時代、西欧列強から不平等な扱いを受けた日本。
それを朝鮮や東南アジア諸国に、同じような仕打ちをした歴史的事実は、日本人として何か苦い物を感じます。
上記の「南洲翁遺訓」の中で西郷隆盛は
「西洋は野蛮だ。文明が人間に優しい物であるならば、何故西洋諸国は武力で不平等な条件を我が国に強いるのか」
と嘆きました。
しかし、西郷どん自身も結局「西洋の一員となりたかった日本」の一人になってしまったかのようです。
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幕末の偉人達はどの人一人とっても個性的です。
中でも私は、笑福亭鶴瓶さん演じる岩倉具視が印象的でした。
特集番組では
「岩倉具視は余り大きく取り上げられる事が無い」
と解説されていましたが、この大河では存在感が異色と言うか、際立っていたと思います。
私が観た中だと、つかこうへいさんの舞台では、岩倉具視が赤いふんどし姿で鞭を振り回す、ちょっとぶっ飛んだ人物として描かれていました。
気持ち、ちょっとだけ分かります(笑)
何と言ったって仇名が「ヤモリ」ですからね。
公家とは言え、ちょっと「食えない奴」と言ったら失礼ですが、一筋縄では行かない人物、と言う設定が非常に後半効いて来ていたと思います。
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【まとめ】
「敬天愛人」
の言葉を残した事でも有名な西郷どんですが、
「いや、あなたが一番愛されていたよ」
と伝えたいです。
曲がった事が大嫌い、実直で剛毅、素朴な人柄で多くの人を惹き付けた西郷どんの姿が、ドラマの中で良く表現されていたと思います。
西郷どん、鈴木亮平さん、スタッフの皆様、製作に携わられた全ての皆様、
「おやっとさぁでございもした!!!」