地方創生ではなく、地方経営を。
こんばんは。社会起業家/中小企業診断士の浜俊壱(shun1.hama)です。
このnoteでは、
「社会起業家/中小企業診断士っていいですね。」
「どうやったら独立できるんですか?」
「どうやったら経営は上手くできるんですか?」
「何をどういう風に考えているんですか?」
と、よく聞かれることを
自分の人生の棚卸しや日々考えていることの言語化を通してお伝えしていきます。
毎日noteを書き続けて、今日で108日目。
今日も朝6:30から、ある企画の打合せ。0から1となる感覚が楽しみです!
はじめましての方はこちらもご覧ください↓↓
さて、本日のテーマは「地方創生ではなく、地方経営を。」です。早速書いていきたいと思います。
近年のインバウンドでの外需頼りは地方創生と呼べるのか?
地方創生という言葉をここ数年、特に聞くようになったと思うのは私だけではないと思います。
おそらく、人口減少が加速していく中で地方にとって既存産業の衰退に伴う内需減少に抗うことは難しいという現実があるのではないでしょうか。
そのため、田舎ならではの観光資源を活用したインバウンドといった外需の取り込みに活路を見出そうとしてきた。その結果、2019年には3000万人を超える外国人数が日本に訪れました。
これは、2000年が訪日外国人数が約475万人だったことからも、いかにインバウンド戦略が奏功してきたかが分かります。
(詳細はこちら↓↓)
そして、今はコロナ禍において、2020年上半期(1月~6月)の合計は前年同期比76.3%減の394.7万人に留まっています。
インバウンド需要で活気づいていた街にとって、これは大打撃どころか瀕死の状況に違いありません。
ここで、疑問が出ます。
何でも一つに頼ること、集中することのリスクです。
そもそも、戦略として、インバウンドでの外需に頼ることは、本当にその地方のためになったのか?と。
もっと、やるべきこと、できることは他になかったのか。と。
私はインバウンド頼りの地方創生は、カンフル剤にはなっても本質的な戦略ではないと思います。
その理由は、そこに人が定住するか。人口が拡大するか。つまり、その地域の内需が拡大するか。という戦略が根本的に必要だからと考えるからです。
どんなに素晴らしい観光資源がある地方でも、人がいないからには始まりません。
地方創生というよりも地方経営
私は、地方創生という言葉を聞くと虚しくなります。地方を「創生」するという言葉が、すでに地方が衰退して手の施しようがないため、0ベースで初めて生み出すという意味を表しているからです。
0ベースではないんです。
そもそも、地方は創生する必要もありません。地方を正しく経営すればいいんです。
もう一度言います。地方にとって必要なのは創生ではなく、経営です。
では、経営とは一体何なのでしょうか?
私は、広義ではインプットに対してアウトプットを最大化することだと捉えています。
これを地方自治体に置き換えると、予算を投入して、税収を上回れば良いのです。
そして、予算を上回った税収を次の成長すべき分野に投資を行い、ここでもOUTPUT / INPUT が1を上回るようにしていきます。
こうするために、取る手段は非常にシンプルです。それは、税収を上げるか費用(予算および支出)を下げることの2択だからです。
けれど、地方の行政に勤務している方は公務員であり、経営者とは真逆の方、経営に興味を持っている方がいたとしても、経営をしたことがない方だと思います。
地方自治体や地方議会は利害関係者の思惑が交錯する
地方自治体や地方議会はその性質上、政治ということが常につきまといます。組織票の見込みがある団体の意向を無視したり、意向と真逆のことをすることに対して抵抗がある場合が令和の時代でも残念ですがあります。
これは何も現代だけでなく、日本だけでもないことですのでこれ自体が悪いということではありません。
そういうものだという前提で物事を進めていく必要があります。
ですので、行政の力に頼るのではなく、民間で形を作っていくことが私はポイントだと考えます。
民間で形を作るといっても、誰が作るのか?
それを担うのが、私たち社会起業家である、と思うのです。
社会起業家に公務員がjoinして地方を経営する。
社会起業家は利益を指標とするのではなく、社会に与える影響=ソーシャルインパクトを指標として活動をしています。
私たちの事業であれば、このような感じです。
・誤嚥性肺炎やその他の理由で入院する人を減らす。
・その結果、医療費を削減する。
もちろん、そこには活動を続けるための持続的な資金を生み出すためのエコシステムもビジネスサイドとしてきちんと完備しています。
つまり、社会性と経済性の両立を行うということを至上命題としています。
「ん?
これって、本来行政が行うことなのではないか?」
そう思われた方も多いと思います。
はっきりいってそうなのかもしれません。
が、先に述べました通り、行政には行政の事情があります。税金を使うとなれば、議会承認が必要です。単なるチャレンジには税金は出せません。
一方で社会起業家はエコシステムから生み出したお金を次のエコシステム構築へ投資を行います。
これは前例がない場合でも積極的に投資をしていきます。これが社会起業家が自分たちで自走している強みです。意思決定を素早く行えるからです。
この社会起業家側に公務員の若い方たちを中心とした出向という流れができると更に活動が加速すると考えています。
そうすると、起業家マインドと経営感覚を持った公務員=行政マンが育っていきます。それが、その地方を行政側から支える人財となり得ると思うのです。
その地方で優秀な人ほど、公務員になるという話を聞いたこともあります。地頭が優秀で若い方であれば、どんどん吸収していくように思います。
この公務員出向制度は起業家側にとっても人件費を負担しなくて良いというメリットがあります。
結局は、企業も人、社会も人、地方も人。人・人・人。
人を育てない限り未来はありません。
地方の無駄な支出を減らす=介護の口腔ケアで医療費の削減に取り組む
私たちの会社では、誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト(本プロジェクト)というものを立ち上げ、全国の介護施設やデイサービス、在宅介護において誰もができる標準化された口腔ケアを広げていっています。
会社を立ち上げて丸2年が立ちましたが、すでに40事業所が本プロジェクトに参加しており年内で100事業所が参加頂く予定です。
1施設あたりの医療費削減額は特別養護老人ホームで平均で約4,000万円です。そのため、100事業所が参加頂くと、これだけで年間40億円の医療費が削減し「続ける」ことができます。
これは、言い換えると年間40億円の予算を生み続けていることとほぼ同意です。
まだまだ100施設。全国には特別養護老人ホームだけでも約10,000施設、他の施設系、通所系、在宅介護を含めると数十万規模になります。
「この削減した医療費を原資として何に投資するのか?」
この一手が、私は地方それぞれの独自性があって良いと思います。
今住んでいる方への手厚い保障もありかもしれませんし、未来を担う若手に対して投資するのも、子育て世代を優遇しても、国内外からの移住者を優遇しても、企業誘致で雇用と税収を確保しても、自由だと思うんです。
そして、私としてはそこまで関わっていきたいと考えています。
どんなに小さい町にも介護施設やお年寄りの方は多くいらっしゃいます。
1施設だけで取り組んでも4,000万円の医療費削減に繋がります。医療費のうち、地方自体負担分と国負担分が半分ずつであっても2,000万円は地方自治体の医療費を削減しています。
毎年2,000万円の予算でできることって、それなりにあると思いませんか?
私たちはシンプルな手法で、本気で国の医療費削減にチャレンジをしています。これを確立できている会社は日本どこを探してもありません。
日本どこの地方でも構いません。
私たちと一緒に誤嚥性肺炎ゼロを目指して頂ける方、地方自治体、ぜひお待ちしています!
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▼日経ビジネスオンライン記事掲載(2018年12月4日)
▼NHK福岡放送局(2019年6月28日)
▼シルバー新報特集緊急企画(2020年5月号)
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まとめ
・インバウンド頼りの地方創生は、カンフル剤にはなっても本質的な戦略ではない。
・地方にとって必要なのは創生ではなく、経営。
・行政ではなく、社会起業家を中止とした民間で形を作っていくこと。
・公務員出向制度で社会起業家へのjoinが長期における最適解。
・結局は、企業も人、社会も人、地方も人。人・人・人。
・人を育てない限り未来はない。
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