「感覚の違い」を仕事に活かす【HSP教員の働き方】

久しぶりに大阪の場づくりカレッジ「えすけーぷ」さんが主催するHSP当事者研究会に行ってきました。前に行ったのがお盆のたこ焼きパーティーなので4ヶ月ぶり。あの日も暑かったのに季節はすっかり冬です。

さて、このえすけーぷさんのHSP当事者研究会に行くと、結構な確率でHSPと仕事に関するトピックが出てきます。で、今回も「HSPと適職」という話題になりました。実際、このとても敏感なHSPという特性を持ちながら働くことに苦労やしんどさを感じている人は多く、この日もあらかたの人の手が挙がっていました。その中で興味深かったのは、「自分が大好きな分野(職業)で働いているのに、結局しんどくなって辞めてしまった」という話が複数出てきたこと。

たしかにその業種は憧れでありとても楽しい。しかし、とても敏感なあまり、いっしょに働く人との「感覚の違い」がどうしても気になって比較してしまい、しんどくなったり「ほどほど」がわかんなくなって自分を追い込んでしまう。結果、休職したり退職してしまう・・・ということのようです。

正直なところ、この視点はまったくもって僕の中にはありませんでした。なぜなら、(研究会でも割と長々話したのですが)僕にとって「感覚の違い」こそがいまこうして割と楽しく働けている最大の要因だからです。

そもそも僕が仕事をするにあたってひとつ大きな軸として大切にしているのが、「いま、どういう業務に手が回っていないか」ということです。職員室の人数が少ないなと思ったら、職員室内でできる仕事に手をかけて電話が鳴ったときに備えるとか。ヒマそうな生徒がいたら話し相手になるとか。なんか教室汚いなあと思ったら倉庫から掃除機出してきてゴミを吸い取るとか。

そういう意味では、僕はほかの人と大きく感覚がずれていることは明白です。ほかに大事な仕事があるはずなのに、それを放り出して生徒と談笑しているという目に映ってもおかしくはありません。ましてそれがその人から見れば優先順位の高い仕事だということもあるでしょう。しかし「組織で働く」上で、そこに今手が回っていない、という事実を、僕は看過できないのです。これは前に書いた敏感すぎてついつい参加したイベントをお手伝いしてしまう話と共通していると思います。

このことを、今回のHSP当事者研究会に参加されている方が「自分の見える世界観を埋める」と、すごくきれいでうまい表現をされていました。たぶん、組織で働く人たちは各々の「自分の見える世界観を埋める」ことによって、仕事や業務を成り立たせているのだと思います。たぶん書き出せば書き出すほど、「自分の見える世界観」は他者と大きく違ってるような気もしています。そしてそれは否定した瞬間「他者と同じ世界観」に変わって、多様性が失われたりパイの奪い合いに発展してしまうのかもしれません。これは僕の学校現場に限らず、数多の組織で言えることだと思います。

余談ですが、僕は「いま、どういう業務に手が回っていないか」を分析した上で結果的に一番手を出す仕事が「ヒマそうな生徒がいたら話し相手になる」ことです。ところがそのたびに生徒から「先生はヒマなのか」と訝しがられるのですが、改めて言っておきます。これが僕の仕事なんだよ。

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