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夢で逢いましょう 3 『インディアン』

夢の中にアメリカインディアンが出てきた。
インディアンは言った。

「オレ、酋長の息子。インディアン」
「嘘つかない。ってか(爆)」
「本当だ。本当はすべて本当だ。だから本当は嘘という言葉もなかった」
「ちょと何言ってるかわからない」
「むかし、白人来て、オレたちに土地を与えると言ってだまして、みんな殺した。その時、オレたちは嘘、という言葉知った」
「ああ、虐殺されちゃったんだよな」
「所有する、ということも初めて知った。オレたちに所有するという概念はなかった。オレのものはみんなのもの。みんなのものはみんなのもの。拾ったものもみんなのもの。白人は土地は贈り物だといった。自然はみんな贈り物。だから簡単にオレたちは信じてしまった」
「なるほどね」
「オレたちは土地を所有していなかった。ただ先祖の地、生まれた地を大切に守ってきただけだ。スカイウーマンがもたらした土地だ」
「スカイウーマン?なんだそりゃ」

「スカイウーマン、知らないのか。遥かむかし、空からくるくるとメープルの種のように舞い降りてきた。胸にたくさんの植物の果実や種を抱えていた。カワウソやマスクラットたちはスカイウーマンが降り立てるように海の底に死に物狂いで潜って泥をかき集め、亀の甲羅に乗せた。スカイウーマンは心から感謝し、その上に静かに舞い降りた。亀の背中の上の一掴みの泥は大きな陸地になり、やがてさまざまな植物と動物に満ちた世界、タートルアイランドになった。動物たちの命をかけた贈り物とスカイウーマンの深い感謝が生んだ奇蹟の魔法だった。おまえたちのとおいとおい祖先だ」
「はあ。俺たちの祖先?縄文人かね」
「そうかもしれない。白い神と呼んでいる。オレたちの祖先はスカイウーマンにいろいろな言葉、教わった」
「はあ。縄文人のことば?」

「オレたちのことばは、いのちの動きや流れを伝える。今の人間たちは使わない言葉だ。
例えば、一夜のうちに土の中から顔を押し上げ、立ち上がるキノコの音。花が咲く音。それぞれの命の音を言葉で伝える。鳥が飛ぶ音を聞く、というのと飛行機が飛ぶ音を聞く、というのでは表現の仕方が違う。いのちの波を感じて伝える。だから雲や星や川からもオレたちは言葉を聞くことができる」
「ほほう。あ、あれだ。一体感てやつ?自然と一体だってことだね。個でありながら全体である、てやつだな」
「自然と一体になる、宇宙と一体になる、とおまえたち、簡単に言うが簡単ではない。樹や草は切られ、ほかの生き物も殺され食べられる。だけど、不平は言わない。それは大いなる愛だ。おまえ達の言う愛とは比べ物にならないくらい大きな大きな愛だ。そこには善も悪もない。生と死のこだわりもない。死は生への贈り物だ。おまえ、ほかの生き物のために死ぬことできるか?手足を切られても文句言わないか」
「そりゃ、ムリだよー」

「人間はその大いなる愛に守られ、生かされている。人間は弱い。だからオレたちは自然を尊び、感謝し、守る。そうして初めてひとは強くなれる。いのちの動きを感じながら、頭使う。どうしたら他の生き物と共存しながら、いのちを守れるか、考えることができる。創造できる。それができて初めて、ひとは全体の一員になれる」
「うーむ。インディアンいいこと言う」
「インディアン、嘘つかない(笑)すべて本当だからだ」

「共存、か。ふむ。生き物たちはみな相互に依存しながら生きてるもんな。いのちの流れを感じる。ひとが忘れかけている言葉。そうか。はじめに言葉ありき、てのはそうゆうことだったんだな。いのちを表現し、伝える言葉、意識だったのか。。。」
「オレたちは再び白い神がやってくるのを待っている。スカイウーマンの子孫たちよ。おもいだすのだ。祖先の血と精霊と記憶を」

「祖先の。。。お、お?な、なんだ、地震か?」
「はっはっは。ここはカメの背中だからな。揺れるだろう。カメも背中がかゆいと言っている。しっかりこの大地に足を踏ん張るのだ。スカイウーマンたち先祖の贈り物である、このタートルアイランド、地球でな。ヒィヤッホーーーッ」

インディアンの雄たけびとともに目が覚めましたとさ。


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