Shuichi Hosokawa

Phot Artist

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最近の記事

夢で逢いましょう 7 『猫』

夢の中にネコが出てきました。 夜の線路を歩いていたのです。 「お?なんだ。ネコか?犬か?」 「ニャオーン」 「やっぱニャンか。どうした?こんな夜更けに。もう夜が明けるぞ」 「ㇴアーゴヌァーン、ニャン <よるのせんろはつめたくてきもちがいい>」 「て、オレもさ。さっきまで友達と飲んでたんだ。8人くらい。歌って踊って騒いで。楽しかったよ。でもさ。オレってそんなときに急に一人になりたくなっちまう。ふらっとね。いなくなりたくなるのさ。で、終電も終わったし、こうして線路を歩いて家路に

    • 夢で逢いましょう 6 『闇』

      夢の中に闇がでてきました。 お?まっくらじゃねーかっ 「そうです。わたし、闇ですから」 「おいおいおーい。ふざけてんのか?こう何も見えないんじゃ、誰としゃべってるかわかんないじゃないか。上も下も左も右もわからねぇ」 「私の声は聴こえるでしょう?人間は見えないものを異常に怖がりますね」 「あたりまえだろ。いつどこで何が襲ってくるかわかんねぇ。無防備だよ、こっちは。光、ひかりっ!光をくれぃっ」 「まあまあ、落ち着いて。そのうち何か見えてきますよ。見えないものと言えば、最近、人間

      • 夢で逢いましょう 5 『閻魔』

        夢の中にエンマ大王が出てきました。 エンマ大王は言った。 「わしー、えんま。よろしくー」 「え?エンマってあの地獄の大魔王?」 「なんだぁ?地獄?うまいのかそれ?」 「おいおいおーい。エンマだろ?軽すぎでしょあんた」 「はあ?軽くなきゃここにはいられんぞ。おまえ死んだのか?」 「死んでねーよ。なんだよ。何の用だよ」 「そりゃこっちのセリフー。んじゃ帰る」 「ちょちょちょ、まてよ。あんたさー。死んだ人を地獄、えーと恐ろしいところに送る役目があるんでしょうが。オレはさ。自慢じゃ

        • 夢で逢いましょう 4 『精子』

          夢の中に精子がでてきました。 え? はあっ?精子!? 「はい。わたしが精子です」 「あ、はあ。そういえば手も足もないし。しっぽみたいのんが。でなんで顔があるんだよっ」 「顔がなければ、あなたとお話しできないから。耳がないと聞こえないし、口がないとしゃべれないし、目がないとあなたがどこにいるか」 「わかったわかった。まあいいや。で、何の用?」 「はて。あなたの夢ですから、あなたが望んだんでしょう」 「望んでねえよっ。精子なんて」 「わかりました。じゃあ、行きます」 「お、お、

          夢で逢いましょう 3 『インディアン』

          夢の中にアメリカインディアンが出てきた。 インディアンは言った。 「オレ、酋長の息子。インディアン」 「嘘つかない。ってか(爆)」 「本当だ。本当はすべて本当だ。だから本当は嘘という言葉もなかった」 「ちょと何言ってるかわからない」 「むかし、白人来て、オレたちに土地を与えると言ってだまして、みんな殺した。その時、オレたちは嘘、という言葉知った」 「ああ、虐殺されちゃったんだよな」 「所有する、ということも初めて知った。オレたちに所有するという概念はなかった。オレのものはみ

          夢で逢いましょう 3 『インディアン』

          夢で逢いましょう 2 『樹』

          夢の中に樹が出てきました。 樹は言いました。 「ちょっとそこ行くちょろちょろ消えたり現れたりする者よ」 「え?はい?オレのこと?」 「そうだ。人間。面白い変わった者よ」 「なんだよ。木のくせに偉そうに言うなよ。動けないくせに」 「きみたちの目からはそう見えるだろう」 「あー、そーだよ。しゃべることもできないくせに。ってなんでおまえしゃべってんだよ」 「きみがみている夢だからだ。といっても実際にもわしたちはリアルにしゃべってるがね」 「え?口もないくせに」 「わしたちは匂いで

          夢で逢いましょう 2 『樹』

          夢で逢いましょう 1 『地球』

          夢の中に地球が出てきました。 地球は言いました。 「ボクはまるい」 「知ってるがな、んなこと」 「太陽の光を受けてね」 「知ってるっつーに」 「本当に知っているの?太陽の光を浴びて君たちは生きているんです」 「だーかーらー」 「でもボクが自転していなかったら君たちは死んでしまうよ」 「え?」 「ボクが回っているから、昼が夜になって夜が昼になってまた夜が来て」 「あたりまえだがね」 「光は同じ分だけ影になる。光と影。君たちはそう言いますね」 「ああ、それが?」 「相反するもの

          夢で逢いましょう 1 『地球』