arica00-03|前提条件の見直し|センスという「機能」を自分のために役立てる。
aricaについてはぜひこちらのコラムから読んでみてください。
自分の「好きの在処」を見つけて集めていく方法をお伝えするaricaのその具体的なやり方をお伝えする前に、見直すべき3つの前提条件についてお伝えしていきます。
1つ目で解説した「センス」という言葉の定義を踏まえて、自分の「好きの在処」を見つけて集めていくための機能としての「センス」の認識をもう少し深めておこうと思います。
センスという「機能」は、なんのためにあるのか
曖昧に捉えられがちな「センス」を解説する名著として真っ先に浮かぶのは、やはり水野学さんの著書『センスは知識からはじまる』ではないでしょうか。
当書にあるように、センスとは特別な才能を持って生まれた人だけのものではなく、体系化することで誰でも習得できるものだと私も考えています。
センスとは、集めた情報を分析し課題解決のために何かを選び取るための機能であり、試行錯誤を繰り返した結果洗練されていくものだと思います。
ビジネスにおいてはまず、収集した情報から一般的に認知されている感覚的な「普通」や「平均」を探ります。それを踏まえた上で世の中にリリースするサービスやブランドとして何を選択するか方向性を探っていくわけですが、この場合の対象は「多数のユーザー」です。
aricaでお伝えしていきたい、自分の「好きの在処」を見つけて集めていくという目的のために自分のセンスをつかう場合、その対象は他でもない「自分自身」。
つまり自分自身をターゲットのために、自分の好きを知って、分析して、より好い選択ができるように自分に提案していくということになります。
私はデザインを生業とする者の端くれとして10年以上活動していますが、生まれつき感覚的にもの選んでいける才能があったわけではありませんでした。
むしろ不器用な部類の人間なので、幾度となくそうした分析や思考を何度も何度もネジネジと繰り返してきました。
クライアントやその先のユーザーにどんな価値を提供したいか、どんな気持ちになってもらいたいか。
デザインの仕事はただ見た目がいい感じのものをつくっていく仕事ではなくて、本質的な部分を突き詰めるとそういった価値を創造するためのひとつの「機能」のような側面があります。
一見難しいことのように感じるかもしれませんが、対象やスケールが違っても自分が自分に対してセンスを役立てるときにも、その本質的な役割は変わらないのだと気づいたのは、クリエイティブの仕事と自分自身の好きの在処の双方に向き合い続けてきたからかもしれません。
このことは言い換えれば、次のような考え方です。
ターゲットである自分の内側を分析する
ターゲットが「自分」であるならば、まずは自分自身を「クライアント」=「喜ばせたい人」として設定し、現時点での自分のスタンダードとなっているものを知っていかなければなりません。
その上で「好きの在処」を見つけ、集めて分析 / 選択を繰り返すことで「うん、これは自分らしくて違和感なくしっくりくるな」という一致感を高めていく選択ができます。
さらに、自分の中のスタンダードを一度捉えたからこそ、より本質が望んでいそうな違うジャンルにも目を向けて「こんなのもアリだったんだな!」という驚きや感動を味合わえる選択もしていける。
「センス」というものが崇高で特別な人だけが手にできる華美な飾りのようなものではなくて、実用的で誰もが自分の可能性を広げるためにつかえる素晴らしい道具だと気付けたら、自分のために役立ててみたくなってきませんか?
感覚派じゃなくても大丈夫
ここまで読んでみて「そんなに難しく考えないで、心のままに好きなものを選べばいいのに!」と感じた方は…… 実はご自身が「センスを感覚で理解できるという才能を持った人」であることをぜひ自負してください!(いいなー! 羨ましい!)
私自身はそれを感覚的に掴むことができなかったので、とにかく何度も違和感や自分が好いと感じていそうな要素を言語化 / 体系化することで理解してきました。
感覚派の人にはいまでも憧れと尊敬の思いがあり、思いもよらぬ発想を次々に生み出す才能は本当に素晴らしいです。仕事でもプライベートでもそんな彼らに助けられることがたくさんあります。
ただ、不器用なりに地道に愚直に自分の「好き」を理解してきたからこそ、再現性のあるものとして私から伝えられることがあるのではという思いに至ったのも事実です。
また、実は多くの人がセンスを感覚的には捉えられずに悩んでいることも知り、aricaを通じて「好きの在処」を見つけて集めることを伝えていこうと思うようになりました。
次のコラムでは、自分の「好き」を分析していく過程で欠かせない「論理的視点」「感情的視点」の重要性と双方を活かすための思考法についてお伝えします。
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