「負けるが勝ち」GRIT(やり抜くため)に必要なマインドセット
何年か前に「GRIT」という言葉・概念に出会い、大きく頷いたことを覚えています。それは特別な才能を持たない自分にとって、頑張れる余地を感じたからかもしれません。
中・高校生の時だったと思いますが、勉強でもスポーツでも明らかに自分よりも軽々と良い結果を出す周りの人を見て折れそうになった時に、自分には「努力する才能はあるかもしれない」「才能には限界があるけど、きっと努力には限界がないんだ」なんて言いきかせていたような自分だったので、尚更、「GRIT」との出会いは心に残りました。
TEDのプレゼンテーションもとても話題になりました。英語の勉強がてら何度も観たことを覚えています。
さて、今日はGRITを説明したいのではありません。
「やり抜く」というのは簡単なことではなくて、その為には「折れないためのマインドセット」ってあるのでは、という話をしたいと思います。
当時はGRITという言葉さえ知りませんでしたが、「Up or Out」という言葉が示す通り、毎年その会社でサバイブできるか常にストレッチを皆でしていた外資系コンサルティング会社で働いていた時も「結局、ファイティングポーズ取り続けられるひとが育つ(あるいは、強い、勝つ)」と言われていました。このファイティングポーズとり続けること。とても難しいことですよね。一つひとつのテーマに真剣に取り組んでいればいるほど、壁にぶち当たることも多いし、その時の跳ね返りも強い。
考え抜いてやってきたことが通用しない。分かってもらえない。厳しいフィードバックに、自分が否定された気持ちになる。結果を見て折れそうになることももちろんありますが、実は結果そのものよりも、結果を出すためのプロセスにおいて私たちは挫けそうになります。ここで折れずに(少しずつ軌道修正して)やり抜けば結果も上向いていくよね、と言う話なんだと思います。
ではどうやって立ち続けるのか。
私の場合は、以前、先輩に頂いた言葉を大事にしています。
「負けるが勝ち」
セールスフォース・ジャパン勤務時代の役員秘書の方に頂いた言葉です。詳細な文脈は忘れてしまいましたが、心血注いで準備してきたものが意図せず跳ね返された時、また、その役員からのディレクションに十分に納得できずに悔しい思いをしていた時に頂いた言葉です。
言葉の意味をしっかり理解するにはその後、ある程度の時間が必要でしたが、その言葉をかけて頂いた時は、なぜか救われた気持ちになったのを覚えています。そして、いったん立ち戻って、もう一度ファイティングポーズを取ることができました。
さて、ここで言う「負ける」とはどういう意味なのでしょう。
あの人の意見が「正しい」「正しくない」「勝った」「負けた」という話ではありません。
結果を出すためのプロセスを走る中で、多くのステークホルダーと私たちは向き合います。これは会社での仕事でもそう、子供の通うPTA役員の仕事でも、マンションの理事会でもそうです。そんな中で、何かを報告、提案し、あるいはレビューを受けた時に、色々な意見や反論、突っ込みや叱咤をもらうことも多いでしょう。皆、異なる立場・利害・経験・見方などを持つ別の人間、当然のことです。
意見が完全にまとまらなかった時、自分が進めたい方向に進められなかった時、色々な感情に襲われます。
などなど。
特に、ミーティングが終わった後や、厳しいメールをもらった後などは気持ちがどうしても昂ります。
こんな時に、私が解釈している「負ける」に値する行動は、
そして、再度進めてみます。
すると今度は、座礁していた物事が一歩前に進む、ということも体験的にありました。「勝ち負け」で表現するのはおかしいと思いますが、気持ち的にはいったん「負ける。負けててみる」というのは少し私にはしっくりきます。
厳密には「勝ち急がない」「焦らない」ということかもしれません。
もう一つ、これも30歳くらいの時に、以前コンサルティング会社の先輩に頂いた言葉です。そういえば、思い起こすと大学を卒業する時にサークルの友人からもらった手紙にも書いてあった記憶があります。
「柳のような強さを」
鉄のようなハートで何事もやり抜けたら良いですよね。
でも、人間そんなに強くないと思います。
自分なりの方法で、長い距離を走り抜けたいものです。
是非、皆さんの方法・マインドセットも教えて下さい。