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【AIと意思決定】人間が必要無くなるケースは?『予測マシンの世紀 第二部』#23

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定(決断を解明する;判断の価値 ほか) 
 第七章 決定を解明する
 第八章 判断の価値
 第九章 判断を予測する
 第十章 複雑さを飼いならす
 第十一章 完全自動で意思決定
第3部 ツール(ワークフローを分解する;決断を分解する ほか)
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来) 

第二部、決断に関してです。昨日の記事は以下です。

■完全自動で意思決定
昨日は、予測精度の向上により、判断・行動を自動化できる可能性を見ていきました。ポイントは、マシンが自動的に行動を起こすことのメリットがあるかどうかです。

予測をマシンが行うことで、人間が行動を起こすよりもマシンのリターンが大きくなるのはいつだろうか?
あるタスクを完全に自動化すべきかどうかを決定するために、意思決定の他の要素(データ収集、判断、アクション)をマシンが行うことのリターンを決定しなければならない。

本の内容に沿って、詳しく見ていきます。

自動化を考える上で、具体例が挙げられています。鉱山の採掘です。

オーストラリアの大都市パースから1,000マイル以上離れたピルバラ地区には、大量の鉄鉱石が眠っている。現場の従業員は、数週間にわたる集中的なシフトのために飛行機で運ばれてくる。そのため、賃金や現場でのサポートにかかる費用が割高になる。鉱山会社が、彼らを最大限に活用したいと考えるのは当然のことだ。

大規模な鉄鉱石鉱山は、コストだけでなく規模も大きく、資本集約的な鉱山です。資本集約的産業については以下。

地表から鉄鉱石を採取した後が重要です。運搬です。トラックを使って運搬し、そこから鉄道線に乗せて、港まで鉱石を運びます。

したがって、鉱山会社にとっての本当のコストは、人ではなくダウンタイムだ

ダウンタイム、聞きなれない言葉ですが、以下の記事によると、「一般にはシステムや機械が故障している時間を示しますが、おしゃべりしている時やメールのやり取りで、「オフの時、一息入れる時」 といった意味で使われるときがあります。」

採掘して運ぶ間に生じる待ち時間、という感じでしょうか?
そこを排除したいということですかね。この待ち時間を省くために、新幹線が止まっている夜に作業をして、朝運ぶという形で、最適化を図っているそうです。しかし、人間は、夜間は生産性が落ちます。そこで、リオティント社という会社は以下の対策をしました。

自律的に運行できる73台の自動運転トラックを導入した。この自動化によって、操業コストを15%削減している。この鉱山では24時間体制でトラックを走らせている。さらに、運転手がいないため、トラックには前後のスペースが必要なく、後ろを振り向く必要がないため、安全性、スペース、メンテナンス、スピードの面でさらに節約できる

自動化により、人的管理コスト、安全コストが大幅に削減されています。この辺りは、Amazonの工場の話も聞くので、イメージしやすいかもしれません。以下の本は、2018年時点のモノです。

この自動化を可能にしたのは、AIがトラックの行く手を阻む危険を予測する精度向上でした。

人間のドライバーは、現場であるいは遠隔地で、トラックの安全を見守る必要はない。そして、安全上のリスクを引き起こす人間の数も減った。さらに、鉱山会社では、地下を掘るためにAI駆動のロボットを導入することを検討しており、オーストラリアの鉱山会社では、地上から港までのサプライチェーンを自動化することを検討している。

まさに、自動化によりコストが大幅に削減される例です。この採掘の話は、完全な自動化の絶好の機会です。
ポイントは、採掘に関しては、AI技術が進歩する前から予測以外のすべてがすでに自動化できていた点です。予測マシンが最後のピースを埋めました。

予測マシンは、多くの作業から人間を取り除くための最後のステップだ。これまでは、人間が周囲の環境をスキャンし、機器に正確に指示を出していました。現在では、センサーからの情報をもとに、AIが障害物を予測して経路を確保する方法を学習する。鉱業会社は人間を必要としなくなった

予測マシンの精度向上により、鉱業会社では人間の判断が必要なくなりました。
つまり、どういう状況で人間が必要なくなるかは以下のように、タスクの最後のピースが予測の場合です。

タスクにおける最終的な人間の要素が予測であるならば、予測マシンが人間と同等の能力を発揮できるようになれば、意思決定者は方程式から人間を取り除くことが出来る

ただ、この10章でこれから詳しく見ていくように、今の採掘のケースのように、やるべきことが明確なタスクはほとんどありません

ほとんどの自動化の意思決定において、マシンによる予測が可能になったからといって、人間の判断を排除してマシンの意思決定者で代用したり、人間の行動を排除して物理的なロボットで代用したりすることには、必ずしも意味がない

詳しく見ていきましょう。

今日はここまで。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/

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