【AIと意思決定】人間を排除できる条件『予測マシンの世紀 第二部』#24
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。
目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定(決断を解明する;判断の価値 ほか)
第七章 決定を解明する
第八章 判断の価値
第九章 判断を予測する
第十章 複雑さを飼いならす
第十一章 完全自動で意思決定
第3部 ツール(ワークフローを分解する;決断を分解する ほか)
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来)
第二部、決断に関してです。昨日の記事は以下です。
■完全自動で意思決定
昨日は、採掘のようなタスクでは、人間は必要が無くなることを見てきました。
タスクにおける最終的な人間の要素が予測であるならば、予測マシンが人間と同等の能力を発揮できるようになれば、意思決定者は方程式から人間を取り除くことが出来る。
ただ、採掘のケースのように、やるべきことが明確なタスクはほとんどありません。では自動化(人間の排除)の条件は何でしょうか?
まずは自動運転の例が挙げられています。予測マシンにより、自動運転が可能になりました。このケースでは、人間は必要ないのでしょうか?
自動車では事故が一番の課題です。
事故が予測されてから必要な反応をするまでの間、人間には考える時間も行動する時間もない。これに対して、自動車の反応をプログラムするのは比較的簡単だ。スピードが求められる場合には、マシンに制御を委ねるメリットが大きい。
自動車の事故の場合は、マシンに判断をゆだねた方がメリットが大きそうです。
予測マシンを採用する場合、予測した内容を意思決定者に伝えなければならない。しかし、その予測がそのまま明らかな行動につながる(「考える必要がない」)のであれば、人間の判断をループに残すケースは少なくなる。マシンが判断のためにコード化され、その結果としての行動を比較的容易に処理できるのであれば、すべてのタスクをマシンに任せることに意味がある。
予測がそのまま行動につながるケースでは、マシンにすべてをゆだねる価値があると。
本では、2016年のリオ・オリンピックの例も取り上げられています。水中で泳ぐ選手を撮影するために、新しいロボットカメラが動作を追跡し、プールの底から適切なショットを移動しながら撮ったそうです。これは以下の記事に詳しいです。
水泳の場合、泳ぐ人の次の行動はある程度予測通りなので、次の行動を予測して写真で撮るという行動にすぐにつながります。人間の判断は必要なさそうです。今ではこのようなカメラの自動化が、バスケットボールのようなより複雑なスポーツにも導入されているそうです。
さて、自動車事故の防止とスポーツの自動撮影にはどんな共通点があるのでしょうか?
いずれも、予測に対する迅速な対応のリターンが高く、判断が成文化されているか予測可能であることだ。
どちらのケースでも、予測後にすぐに行動した方がメリットが高く、かつ行動を起こすための判断が予測可能であるということですね。スピードのメリットと判断の予測可能性。
マシンがこれらのタスクを全てやることのリターンが、人間を入れることのリターンより大きければ、自動化が起こります。
自動化は、すべての機能をマシンが処理することのリターンが、プロセスに人間を含めることのリターンよりも大きい場合に起こる。
さらに、自動化は、コミュニケーションのコストが高い場合にも生じるそうです。
どういうことでしょうか?本では、宇宙開発が取り上げられています。宇宙技術開発の発展はすごい勢いです。SpaceX、熱いです。
月面ロボットについて考える。どのように航行し、行動するか?電波信号が月から地球に到達するのに2秒かかるため、地球にいる人間が月面ロボットを操作するのは時間がかかり、苦痛である。新しい状況に素早く反応することが出来ない。
まさにコミュニケーションロスが起こります。これを解決するのが予測マシンです。
予測能力が高ければ、月面ロボットの行動は自動化され、地球上の人間がすべてのステップを指示する必要がない。AIがなければ、このような商業的な事業は不可能だ。
スピードが求められてかつ人間の判断がAIにより予測できるケース、
コミュニケーションコストが高いケース
は人間を排除した方がよいことがわかりました。
他のケースではどうでしょうか?
本日はここまで。明日は有名なトロッコ問題を見ていきます。