さめにんじゃ

さめにんじゃ

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石の賛美歌,ミシェル・クレフィ,1990

映画館で見た。 第一次インティファーダの最中の、多分ガザ地区に取材した記録映像と、久しぶりに再会した恋人の劇が混じっている映画。 AGFAに記録された紛れもなきかつての嘆きが、今現在の嘆きでもあるという事に戦慄しながら見ていた。無邪気に遊んでいる子どもたちは今4-50代になっているだろう。そして親たちと同じ場所で同じ悲しみを体験しているのかと思うと、劇中で女が言う「責任は我々にある」という言葉の意味が時間や空間を越えて拡散していくように感じた。 家を壊された家族の母親がひたす

    • 生きていてよかった,亀井文夫,1956

      https://www.yidff.jp/2001/cat113/01c122-1.html 原爆投下10年後のドキュメンタリー。原爆による外傷はまだ生々しく肌や街のあちこちに残っている。 被爆者の語りと生活がかわるがわる淡々と描かれている。固定カメラ。街に残る大いなる破壊の痕跡と登場人物の切実さは政治的なことどもを一瞥ともしない。 原爆ドームをねぐらにしている足の不自由な野良犬。実験用の犬の鳴き声。 原爆によって障害を負ったこどもや若者が多く登場する。語りとしての原爆

      • 私家版 もうひとつのアフガニスタン ~カーブル日記 1985年~,土本典昭,2003

        1985年四月革命のパレードをクライマックスに、アフガニスタンで暮らす市井の人々をダイジェスト的に追ったドキュメンタリー。 始めに新聞記事を映しながら政治的な動向を俯瞰的に述べた後、現地の映像がカラーで迫る演出がシンプルだが効果的だった。 音楽は高田みどり。美しい音楽。 共産主義国家としてのアフガニスタンを映している。教育・住居・制服。 これは1985年の映像を2003年に編集した元々回想的な作品であるが、故にそこからさらに20年たった後にあらためて鑑賞すると現在のアフガニ

        • 炭鉱美人,RKB毎日放送,2002

          炭鉱で働いた女性へのインタビューを中心に構成されたドキュメンタリー。上稞で全裸の男性たちと働く人たち。 登場する人たちの語り口は優しい。 彼女らの肌がそれまで生きてきた場所や思いを刻んでいるかのように映る。手のアップ。この手で掘り、育ててきたという手のアップはとても印象に残った。 多数の死者の出る職場は辛く大変なことも多かったことだろうから、思い出したくない人もいるだろう。 戦争の影響で炭鉱で働く女性が増え、戦後にGHQによって女性の炭鉱での労働が制限された。 女性の社会進出

        石の賛美歌,ミシェル・クレフィ,1990