石の賛美歌,ミシェル・クレフィ,1990

映画館で見た。
第一次インティファーダの最中の、多分ガザ地区に取材した記録映像と、久しぶりに再会した恋人の劇が混じっている映画。
AGFAに記録された紛れもなきかつての嘆きが、今現在の嘆きでもあるという事に戦慄しながら見ていた。無邪気に遊んでいる子どもたちは今4-50代になっているだろう。そして親たちと同じ場所で同じ悲しみを体験しているのかと思うと、劇中で女が言う「責任は我々にある」という言葉の意味が時間や空間を越えて拡散していくように感じた。
家を壊された家族の母親がひたすらに泣いている。家の建っていた見晴らしのいい丘にはもしかしたら今はイスラエルの入植者たちの白い家に覆われているのかもしれない。
記録映画とフィクションの境目は曖昧だった。
劇と記録が一緒になった映画をあまり私は好まないが、この映画はとっても好きで、しかも傑作だと思った。
記録が劇に先立っていた。
オープニングは最強だった。


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