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雨の中でキス、スペイン旅行、そして〜ブループリント 下巻

錚々たる知識人たちによる推薦、帯文が目立ってつい(背伸びともいう)読み始めてしまった『ブループリント 「よい未来を築くための進化論と人類史」』をやっと読了。

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上巻についてはこちら。

著者のニコラス・クリスタキスは医学博士、学術博士、公衆衛生学修士、イエール大学社会・自然科学スターリング・プロフェッサーといった肩書で、社会学、生態学、進化生物学、統計学およびデータサイエンス、医用生体工学、医学といった分野で仕事をしている。

これらのほとんどが「なんじゃそりゃ」なわたしに、彼のこの濃密な(しかも上下巻)著作をちゃんと理解できるわけもなく、かといってせっかく読んだのだから(けっこう苦労して)なにかしら書き残したいという思いはあるのでなんとか絞り出してみよう。

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本書を一言で言うなら、もうそれは帯にあるとおり。(身も蓋もない)

人類の本質は「善」だ。分断と格差は乗り越えられる

ということです。

その「善」をなすヒトの本質というか性質について(ソーシャル・スイート = 社会性一式)著者の膨大な知識や仕事で得た知見から、これでもかというくらい様々な(量、分野ともに)例を示して語ってくれています。

副題にもあるように「進化論」と「人類史」から導き出しているので、自ずとそのスケールや抽象度はわたしなんかに理解できるものではないのだけれど、それでも具体的な個々の事例等で理解したり楽しんだりしたところもありました。(上巻のほうがそんな感じで、下巻はきつかったけど)

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しかし。

本当にそうなんだろうか?

帯文にあるように「前代未聞の希望の書」なのだろうか。

例の感染症騒ぎでこうなってしまっている現状(ロックダウン、ソーシャルなんとか、三密を避ける、マスク、過剰な除菌、消毒等)その希望なるものがわたしにはあまり現実味がないのだけれど。(もちろん、本書で語られる事象それぞれにはたしかに希望を感じさせるものはある)

そこ(例の感染症騒ぎ)のところについて、著者はどう思い、考えているのか聞きたいところ。

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そのへんはさておき。

個人的に(個人的でない読書体験があるのかはともかく)この下巻で一番印象に残っているものを残しておきます。

2015年にアメリカの17歳の少女が車に轢かれそうになった友人(男の子)を突き飛ばして、代わりに自らの命を落とした。

後日、彼女の家族が彼女が2年前に作っていた「死ぬまでにやりたいことリスト」を見つける。

そこに書いてあったのは

雨の中でキス。
スペイン旅行。
人命救助。

この部分だけを本書の感想としてあげるのは適切ではないけれど。

彼女の友人を救った行為と、それによって失った自分の命。

そして書き残したリスト。

それらすべてが、彼女がその身を賭して残した一編の詩に感じられる。

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