この世界は関係性で出来ている〜すごい物理学入門
『時間は存在しない』の著者カルロ・ロヴェッリによる『すごい物理学入門』。
帯には「誰もが感動する究極の入門書」とあります。
んー、何をもって感動とするかによるのだけれど、自分としては感動というよりも『時間は存在しない』は理解がしんどかったけれど、本書は「入門」とあるだけあって、より平易にコンパクトにまとめられているところがありがたかったです。
物理学というと量子論(量子力学)なんかもありますが、そのへんも本書を読む以前よりは像がくっきりしてきたというか。少なくとも、以前よりは距離が近くなったというか。
たとえば時間をとってみると、高いところと低いところではその流れ方(速度)が違うということ。(高いところでは早く、低いところでは遅く)
これひとつみても、時間という(概念)がいかに曖昧であるか、主観的なものでしかないということが理解とまではいかなくとも、感じられるようになります。
また、この世界は物質が不安定な状態でつねに揺らいでいること。(量子力学と素粒子実験によってわかってきた)
いくつものうねりが合わさり、物質からなっているのではなく、出来事(その相互作用)からなる世界であること。
これまでのカチっとした確かな世界という認識が大きくゆらぎます。
そして、以下の一節(引用)からは釈迦の説いた縁起を想起します。
ここでもまた、世界は物体からできているというよりも、関係性からできているように思われます。
ヴィパッサナー瞑想の瞑想合宿に参加したことのある人は、毎晩あったゴエンカ氏の説法(この表現が妥当かわかりませんが)を聞いて、2500年前にとっくに釈迦はこのあたりのこと(現代物理学)がわかっていたのかなと驚愕したかと思うのですが、本書を読んであらためてそう感じました。
正直なところ、本書を読んで本当に理解できたかと問われれば
否
なのですが、少なくとも以前よりははるかに身近に、苦手意識は薄くなったかと思います。それはやはり書き手の文学的な素養、詩的、文学的な表現力の力が大きいのだと思います。
さぁ、次は『すごい物理学講義』だ。(あ、その前に三体だ)