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コレクション紹介その1・絞りの昼夜帯

新しいシリーズです。着物や帯の目利きを増やすために、本法人のコレクションを紹介し、解説を加えてゆきたいと思います。第一回目は絞りと染めの入った昼夜帯です。名称がある方が理解が進むと思いますので、名称もつけます。「茄子紺色地格子模様に鹿の子絞り昼夜帯」

拡大です。

昼夜帯とは、すでにご存じの方も多いと思いますが、表と裏の布地の材質が異なる帯です。裏地は繻子(しゅす)地を用いることが多く、昼と夜に使い分けができるので昼夜帯と呼ばれたという説、表に薄い色調の布地を使い、裏に黒色の繻子を用いたので、昼夜帯と呼ばれたという説などがあります。この帯は裏地に緑がかった灰色の繻子地をつけています。

仕切り線も絞りで表現しています。

絞りがご専門の池崎氏によれば、格子の部分の絞りは「鹿の子絞り」仕切り線の絞りは「一目絞り」ということです。また、絞りの間にある模様は、先に絵を染めてから帽子絞りなどの技法で防染したのではないか、ということでした。絵の部分に一部染料が入っています。

全体です。
格子部分の拡大です
仕切り線部分です
仕切り線部分です。線に変化をつけています。

更に伺うと、「この帯は絞りの工房ではなく、染め屋が作ったものではないか」ということでした。染め屋=友禅染めなどの工房で、こうしたデザインを企画し、先に絵を描いてから絞りに出したもののようです。手描きの模様も地色に合わせたややエキゾチックなもので、作り手のセンスがうかがえます。
【名称について】
本法人では下記の順番で所蔵品の名称をつけています。色名などは和色大辞典などを参考にしています。
茄子紺色地⇒地色
格子模様⇒文様の名称
に鹿の子絞り⇒特殊な技法があれば記載します。
昼夜帯⇒形態について記載します。
必ずしも博物館などの様式と一致するものではありません。
【協力】執筆にあたり、絞りの専門家でいらっしゃる池崎愛二氏のご協力をいただいております。池崎氏のインタビューも御覧ください。
https://note.com/showakimono/n/nd53f9c428d7e

似内惠子(一般社団法人昭和きもの愛好会理事)
(この原稿の著作権は昭和きもの愛好会に属します。無断転載を禁じます)

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