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これからの「正義」の話よう 【読書感想】

『どんな本?』


「正義へのつのアプローチ」

・ 幸福 : 幸福の最大化
・ 自由 : 自由の尊重
・ 美徳 : 美徳の促進


これら3つの強みと弱みを探っていく。

ハーバード大学史上の空前の
履修者数を記録し続ける講義、
「Justice」の書籍化。

1人を殺せば、5人助かる。
お金持ちに高い課税をし、
貧しい人々に再分配する。
前の世代が犯した過ちについて、
私たちに償いの義務はあるのか?

世界には、人間には、
簡単に答えが出せないことがたくさんある。
そこに対立が生まれる。
そんな中でも答えを出さなきゃいけない。
答えを模索していくしかない。

あなたの正義は何か。

この難題を一緒に考える本です。

『読書感想』

哲学者たちの見解から定義を考える本書。
正直、難しかったです。
忙しい仕事の合間に読み進めたのもあり、
読み終えるのに2週間を要しました。
もっと集中して読むべきでした。

取り上げられるテーマどれも本当に難しい。
どちらが正しいのか、
簡単に答えは出せないことばかり。
だからじっくり考える必要があります。
正義について、深く思考したい方に
凄くおすすめです。

現代社会の新しい正義を
考えるヒントになる本でした。

代理母出産をめぐる正義の考察が
大変興味深かったです。
子どもを望んでも、授かることができない。
代理母契約を結んで、生まれた子。
代理母のはずが、生まれた子どもに
愛情が湧いてきた。
いったい誰が親であるべきなのか。
そもそも制度が許されるのか。
簡単にどちらが親だと、
ぼくには納得のいく答えが出せなかった。

そもそも「正義」とは?
辞書にはこう書かれている。
正しい道義。
人が従うべき道理。
正しい意味。
正しい解釈。

正義という言葉を聞くと、
対義語の「悪」を連想する。

正義を語ると、
必ず対立する意見がそこにある。

そのとき、どう考えるか。
古今の哲学者たちは、
正義に向き合ってきた。
そこから学ぶことで、
これからの正意義を考えていく。
みんなが考えることで、
世界は変わっていく。

ぼくたちが生きる世界には
たくさんの正義がある。
だから簡単に「これが正しい」とは
簡単には言えない。
お互いの正義を出し合いながら、
「じゃあ、この辺でどうだろう?」
そうやって多様性の中で、
穏やかに答えを探り合う。

ぼくはそんな風に生きたいです。

『心に沁みた言葉〜言葉の燈〜』

切羽詰まった買い手に自由はない。
安全な宿泊施設のような必要不可欠な
ものの購入に選択の余地はないのだ。

良い社会は困難な時期に団結するものだ。
人々はできるだけ利益を
上げようとするのではなく、
互いに気を配り合う。

正義をめぐる古代理論は美徳から出発し、
近現代の理論は自由から発する。

アメリカ人は強欲よりも失敗に厳しい。

アメリカ人の正義感を害ったのは、
失敗に報酬を与えるために税金が
使われていることあったのである。

アンダーソンの議論の中心にあるのは、
ものには種類があるという考え方だ。
あらゆるものを一律に評価するのは間違いである。
例えば利益を産む道具、
あるいは利用するための物として。
この考え方が正しければ、
金銭で買うべきではないモノが
あることの説明がつく。


人間には自由を司る能力があるのだから、
我々は単なる物のように扱われるべきではなく、
尊厳と敬意を持って扱われるべきである。
人間(尊敬に値する)と
単なる物体(自由に利用できる)
との血がである。

子どもを産むことと戦争ほど、
異質な行為はないだろう。
しかし、妊娠しているインドの代理母と、
アンドリューカーネギーの身代わりとして
南北戦争を戦った兵士には共通点がある。
彼らの置かれた状況の是非を考えていくと、
二つの問題に向き合わざるをえなくなる。
それは、正義をめぐって対立する様々な
考え方の分岐点となるものだ。
一つは、自由市場で我々が下す選択は
どこまで自由なのかという問題。
もう一つは、市場で評価されなくても、
金では買えない美徳やより高級なモノ
は存在するのかという問題である。

カントの自律の概念。
自分が定めた法則に従って自律的に行動する。
我々はその行動のために、
その行動自体を究極の目的として行動している。
我々はもはや、誰かが定めた目的を
達成する道具ではない。
自律的に行動する能力こそ、
人間に特別な尊厳を与えているのだ。
この能力が人格とモノを隔てているのである。

その意志はあたかも宝石のように、
すべての価値を内包するものとして、
それ自身のために輝く。

我々はすべての道徳的主張に
同意を読み解こうとするが、
互恵性そのものが持つ
重みを認識しなければ、
道徳的人生を理解することは難しい。


「選択の自由」
フリードマンの市場経済を
擁護したベストセラー本。
ロールズと異なり、フリードマンは
この不公正さを是正するのではなく、
この差を受け入れ、そこから利益を
得るべきだと主張した。

「お互いの運命を分かち合い」、
「それが全体の利益になるときのみ、
自然の采配や社会環境の
巡り合わせを利用する」
ことに同意することこそ、
これらの正しい事実の扱い方だと
ロールズは主張する。
うまくいくかはともかく、
ロールズの正義論はアメリカの
政治哲学がまだ生みだしていない、
よろ平等な社会を実現するための
説得力ある主張を提示している。

アリストテレスはなぜ、
善良な生活を送るには政治への参加が
不可欠だと考えたのだろうか。
答えは人間の本質にある。
都市国家に住み、
政治に参加することでしか、
我々は人間としての本質を
十分に発揮できないのだ。

アリストテレスは人間を
「政治的共同体をつくる生き物であり、
その傾向はミツバチなど群れをつくる
ほかの動物よりも大きい」と見ている。

言語は、
それを通して我々が善を識別し、
熟考するための媒体である。

つまり、我々が自らの本質を
十分に発揮するのは、
言語能力を発揮するときだけであり、
そのためには正しいことと
間違っっていること、禅と悪、
正義と不正について他者と共に
考えなければならないのだ。

徳ある人とは、
快楽と苦痛を、それぞれ適正なものに
ついて感じる人だ。

幸福とは心の状態ではなく、
人間の在り方であり、
「美徳に一致する魂の活動」なのである。

道徳な意味での美徳は
習慣の結果として生まれる。

習うより慣れよ

「我々は正しい行動をすることで正しくなり、
節度ある行動をすることで節度を身につけ、
勇敢な行動をすることで勇敢になるのだ」

道徳教育で大事なのは、
習慣づけと人格形成だ。

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