パニック映画2本立て『ACIDE:アシッド』『ツイスターズ』
「人生で一番好きな映画は?」と尋ねられると困ります。答えられません。でも「人生で一番多く観た映画は?」と尋ねられば、それは確実に『ポセイドン・アドベンチャー』。転覆した豪華客船からの脱出を図る1972年公開のパニック映画です。
ちなみに、私、この作品をリアルタイムで観たというほど歳はいっていません。子供の頃、テレビの金曜ロードショーなどでよく流れていました(テレビ東京が多かった記憶)。何度観てもハラハラドキドキできて、『映画=おもしろいもの』という意識を私に植え付けたのはこの作品だと断言できます。
そんなわけで、今でもパニック映画が好きです。
パニック映画は基本、人々がパニックに陥って、逃げ惑い、助け合い、一人また一人と命を失って、果たして誰が生き残るのか!?パニックを終わらせることはできるのか!?というのが基本的なストーリー。
じゃあ、何で人々をパニックに陥らせるのか?という点がアイデア勝負になります。
船の転覆に始まり、地震、火事、パンデミック、隕石、竜巻、津波あたりが王道ですかね。サメ、熊、宇宙人、テロリストなんていうのもありますし、ゴジラやゾンビもある意味…と考えると、この世の映画の三分の一くらいはパニック映画なのかもしれませんが、ともあれ、ちょっと出尽くしちゃった感があったんですけど。
そんな中「お、新しいじゃん!」と色めきだって観に行ったのが『ACIDE /アシッド』です。
パニック要因は『酸性雨』。
街も人も溶かす超高濃度の酸性雨が降ったり止んだりする中を逃げ惑う父と娘を描きます。
「溶かす」っていうのはグロくなりそうだし、結構期待して観に行ったんですけどね。これフランスの映画なんですよ。なんていうか「うちらハリウッドみたいに派手なだけで浅はかな映画は作りませんよボンソワール」とでもいうように、ストーリーもヴィジュアルも比較的地味に進んでいくんですよね。
人が酸性雨に打たれる様子もそこまで残虐には描かないし、家には入れてあげるけどご飯はあげたくないなとか、娘を助けたいけど恋人にも会いに行きたいなとか、リアリティがあると言えばリアリティがあるんでしょうけど、パニック映画にリアリティ必要かな?っていうくらいテンション低め、スクリーン暗め。
かと思えば、恐怖の酸性雨が降るかもしれないっていうのに「今日は乗馬の実習で森へ行きます」っていう学校とか、家や橋も崩すほどの酸性雨なのに車は案外丈夫だなとか、そこらへんのリアリティは謎。
まあ、つまらなくはなかったけど、いまいちスカッとしないまま、立て続けに観たのが、こちら『ツイスターズ』です。
パニック要因は『巨大竜巻』。
え! また竜巻やってんの?っていうくらいアメリカってば竜巻映画がお好き。令和も6年になって今だに「ツイスターズ」とかまじエモいんだけどー!って令和ギャルな気分で観に行きましたけど、ヴィジュアルは派手だし、人間ドラマの部分もわりと厚みがあり(ベタだけど)、主人公の女の子は可愛い、男はイケオジだし(実年齢35歳だけど)、まあ、安定のおもしろさでした。
ポセイドン・アドベンチャー育ちの私は、いかにもハリウッドっぽいベタなパニック映画の方が好みのようです。
パニック映画は火曜や水曜の映画料金が割引になる日の仕事帰りとかに、空いている劇場でビール片手に軽い気持ちで楽しむのが良いと思います。
心に残るものは少ないけれど、とりあえずリフレッシュできる。
みなさんも、よかったら、ぜひ。