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選挙に行こう『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

アメリカで内戦が勃発するのね。大統領に反旗を翻した反政府軍によるホワイトハウス陥落が目前に迫るの。そうなる前に大統領からインタビューを取ろうと4人のジャーナリストがニューヨークからワシントンDCへ向かうんだけど、道中で激しい銃撃戦に遭遇したり、戦争に無関心を装う一見平和な街があったり、純粋(?)なアメリカ人以外を排除する極右に襲われたり、戦火をゆくロードムービーっていう感じ。

4人のジャーナリストの中にはベテラン女性カメラマンと、彼女に憧れるカメラマン志望の女の子がいるんだけど、最初は同行を嫌がるベテランが若者にジャーナリズムとはなんであるかを教える、そんな職業映画の一面もあります。

私さ、これって頭を空っぽにしてドンパチを楽しむタイプのハリウッド映画かと勝手に思っていたから、ポップコーン片手にあははーんって、トム・クルーズの映画を観に行く感じの空気感で観に行ったら、全然、違かった。トム・クルーズ出る幕なし。

完全フィクションではあるのだけど、大統領はどうしたってトランプ氏を彷彿とさせるの。映画の中の大統領は3期目に突入していて、(アメリカ大統領は2期までと法律で決まっているけど、かつてトランプは3期目にも意欲を示した)、FBIも廃止しちゃっている(トランプは自らの脅威になりかねないFBIの権限を縮小しようとしている)。で、こりゃ独裁国家だ!ってことで内戦が始まっちゃって、あちこちで人が死んでしまっている、良い人も、悪い人も。

完全フィクションというには妙にリアルで、実際のアメリカや、なんなら日本も、この3歩手前くらいにはいるんじゃね?と思わずにはいられない内容。その3歩が果てしなく遠くあってほしいとは願うけれども、とりあえず、ちゃんと選挙に行かなくっちゃ。

ベテラン女性カメラマンをキルスティン・ダンストが演じています。いつのまにか立派なおばさん。マリー・アントワネットの面影まるでなし。だけど、かつてのアイドル女優が年齢を重ねて、アースカラーのTシャツとパンツにすっぴん(風メイクだけど)で、土ぼこりにまみれたり地面に這いつくばる役を嬉々として演じている姿っていうのは本当に格好良いものです。
おばさんなんて言うとうるさい人にうるさいこと言われそうなものだけど、私もいつしかこんな立派なおばさんになるために、長年ゲイなんていうものをやっているのかもしれません(嘘だけど本当)。いや、もうとっくにおばさんだけど(おじさんだけど)。

結構、好きでした、この映画。


みなさんも、ぜひ。

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