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ドラマ『99.9-刑事専門弁護士』から学んだ、心理的安全性の作り方

先月、部のメンバーとの1on1についての記事を書いたところ、過去一番の反響でした。ありがとうございます。

今日は、前回の記事で書ききれなかった、私なりの信頼関係の作り方について書きたいと思います。

前回の記事では、1on1の最後に本人に自分の発言を振り返ってもらって、気づきを言語化してもらうことが大事だと書きました。

しかし、もしも目の前にいる私が信頼できる人間でないと、気付いたことを素直に言語化することはできません。

信頼関係がないと、いくら手元に「1on1の質問集」を持っていたとしても、全く機能しないのです。

そこで、私がどのようにして信頼関係を作ろうとしているのかについて、お話ししたいと思います。

ご出身はどちらですか?


初めて私のチームに来てくれたメンバー(いわゆる部下なのですが、部下という言葉には違和感があるので、メンバーと書きます)とは、期初に必ず1時間ほど時間をもらっています。

そして、その1時間の会議の名前も、「プチ面談」とか「雑談会」とか、なるべくライトな感じにしています。

そこで何をするかというと、その人の生い立ちから現在までのストーリーを、ひたすら聞いていきます。

例えば、こんな感じで聞いていきます。

・○○さんは、ご出身はどちらなんですか
・小さい頃は、どんな子どもだったんですか?
・中高時代は何をしていたんですか?
・どうやってその大学を選んだんですか?

もちろん、尋問のように淡々と聞くのではなく、興味あるエピソードにはさらに質問を重ねます。

私の会社にはマーケターやデザイナーなどいろいろな職種の人がいるので、面白いエピソードが次々と出てきて、あっという間に時間がすぎていきます。

話の流れが会社に入った後は、仕事について少し丁寧に聞いていきます。

・入社の時の希望の職種は何だったんですか?
・最初に配属されたチームはどこだったんですか?
・一番楽しかった仕事はなんですか?
・去年1年はどんな年でしたか?

このように詳しく聞くと、その人が最近やっている仕事(私もある程度知っていた)と、その人自身が数年かけて歩んできた道(私は初めて知った)が繋がって、「点が線になる」を実感できます。

例えば、あるデータ専門の部門から、私が所属するブランディングの部門に異動してきたメンバーがいました。彼はデータの専門家として頼られがちなのですが、話を聞いてみると、実は、入社時の配属希望はクリエイティブ職(コピーライター)でした。

ところが、偶然が重なって、全く興味がないデータ部門へ。それも勉強だと思って数年間がんばった後に、かねてからの希望がかなってブランディングの部署に来たのです。

また、データ部門に所属している間も、土日にクリエイティブに関する本を読むなど、自己研鑽を重ねていたこともわかりました。

そのような背景を知らず、「データが得意な中堅」とだけ認識していると、私の日々の話し方や、お願いする業務が、本人のイメージとずれてしまう可能性が高いです。

ですが、過去からの流れを聞いた上であれば、それに近い仕事をお願いすることもできるし、彼から「こういう仕事がやりたいんです」と言われても、違和感なく相談にのることができます。

また、メンバーの視点で考えれば、自分の背景を知っている上司の方が話しやすいと思います。

最近よく、心理的安全性、つまり「遠慮せずに自由に思ったことを発言できる」ような関係性が大事だと言われています。


本音で話すためには、上司が自分の「人となり」を知っていることが重要です。ですので、心理的安全性が高い関係性の作り方の一つとして、その人の生い立ちに耳を傾けるのは有効ではないかなと思っています。

ドラマから学んだ質問法


ちなみに、私が「生い立ちから聞く」という方法を思いついたきっかけは、TBSの『99.9-刑事専門弁護士』というドラマでした。

ドラマでは、松本潤さん演じる深山(みやま)弁護士が、拘置所にいる依頼人へ最初に接見するシーンがよく登場します。そこで深山弁護士はいつも、「それでは生年月日からお願いします」と生い立ちをしつこく聞いて、周りの弁護士に呆れられます。そのシーンがすごく心に残っていて、メンバーとの1on1で取り入れてみたというわけです。

私の勝手な解釈ですが、深山弁護士にとっては、事件の表面的なところを見るのではなく、その人を深く知ることが真実を見つける近道で、生い立ちから聞くのはそのために必要なのかなと思っています。

同様に私も、表面的に最近の仕事だけを聞いてその人を理解した気にならずに、それまでの人生を(といっても1時間で聞き切れるものでもないのですが)聞いた上で、点ではなく線で理解して、より良い仕事とマッチングできるようにしたいと思っています。

また、そうやって線で理解してくれる上司の方が、点で理解する上司よりも、話しやすく心理的安全性も高くなるのではないかな・・と思っています。

ところで、これまでは私が一方的に聞くばかりだったのですが、今年初めてメンバーの方から、「岡田さんの話も聞いてみたい」と言われました。つまり、逆に私が根掘り葉掘り聞かれるわけです。

自分から「俺の話を聞け」というのも違うので、向こうからそう言ってもらえて少し嬉しかったです。これからその会は開催されるのですが、どんなふうに聞かれるのか今からドキドキしています。

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岡田 庄生 | ブランド戦略コンサルタント
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