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【未来予想】「商品」の時代から「関係」の時代へ
【忙しい飲食人のための本屋さん】
ロボットが料理を運んでくれる時代になりましたね!
メニュー表はタブレット。料理を作るのも機械。運ぶのもロボット。
飲食店のあり方は激変しています。
昔からブラックと言われ続けた飲食業界です。
少しでも生産性を上げて、
過酷な労働環境を抜け出すために、ロボットを使うのは大賛成です。
好きでやっている仕事ですから、人気が出て欲しいし、憧れの仕事でありたいと思っています。
今回は中村仁さんの
『外食逆襲論』
をご紹介させていただきます!
本書で得られるもの
この本を読むと、
・世界の最先端で起きている「外食✖️テクノロジー」
・飲食業界が抱える課題
・常連客づくりの戦略
・テクノロジーの正しい使い方
を学べます!
今回は本書の内容のほんの一部を、紹介します!
著者:中村仁さん
松下電器産業(現パナソニック)、外資系広告代理店のオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンを経て、
2000年に東京・港区で飲食店を開業。立ち飲みブームのきっかけとなった「西麻布 壌」ほか、「豚組」「豚組しゃぶ庵」などの繁盛店を世に送り出す一方、
2010年にはTwitterを活用した集客で「外食アワード」を受賞。
2011年に料理写真を共有するアプリ「ミイル」をリリース後、
2013年に株式会社トレタを設立。
常識破りのワンオペ店
シカゴのTapsterというお店はご存知でしょうか。
普通のパブのように見えるこのお店は、店員が1人しかいないワンオペ店です。
一体どのようにお店を回しているのでしょうか。
お客様は店に入ると、店員に自分のクレジットカードを渡す。
それと引き換えに自分の名前が入力された専用のICカードを受け取ります。
店内には、30種類以上のセルフ型ビールサーバーが設置されており、お客様は自分の好きなクラフトビールを選ぶことができます。飲みたいものが決まったら、先程のICカードを端末に差し込みます。すると、自分でビールを注ぐことができるようになります。このとき、どれだけ注いだかがICカードに記録されます。1mlあたりの計り売りのシステムです。
会計の際は、このICカードを店員に返却するだけ。
預けているクレジットカードから決済してもらうことで、会計はあっという間に完了します。
料理はというと、あえて店では提供していません。
外で買ってきたおつまみを、自由に持ち込んで良いというスタイルです。
すごいですよね。
人も置かない。料理も出さない。
労働生産性は従来の飲食店では考えられないレベルでしょう。
僕は、持ち込みの料理でお客さんが喜ぶのか疑問ですが、
店内のインテリアにも拘っていて、雰囲気の良いお店だし、自分でビールを注ぐという体験が楽しいくて、中村さんととても評価してました。
レストランというより、バーの未来版といったイメージかも知れませんね!
このお店以外にも、テクノロジーの力を使った飲食店の例が紹介されていて、本当に何から何まで人の力を使わずにすることが可能なんだなと驚きました。
著者の中村さんは、
過酷な労働環境や賃金の低さを、変えようとしなければ延々とこの状況が続く。
しかし、代わろうと決意すれば、5年後にはこの状況を激変させることができる。
と述べています。
世界の例を見れば、飲食店がホワイト企業になるのは、そう遠い未来ではない。
やるかやらないかだけなのだと思えてきました。
グルメサイト20年の変遷
本書では、飲食業界が抱える課題についてたくさん述べられていますが、
今回は、皆様の中でも利用している方が多いと思われる、グルメサイトについて語られている部分が面白かったので、そこをメインに紹介します!
グルメサイトが登場する以前、1980年代から90年代半ばまでは、マスメディアによる紹介が主流でした。
中でも流行をリードしていたのは雑誌で、『ハナコ』『ホットドック・プレス』『ポパイ』といった人気雑誌にいかに取り上げてもらうかを、お店は一生懸命に考えていました。
もちろん当時もお客様が直接知り合いにお店を紹介するクチコミも力を持っていました。
グルメサイトの草分けとも言える「ぐるなび」が誕生したのは、1996年。
当時はまだ自社ホームページを持っていないお店が多く、自分の店の情報をネット上に公開できる「ぐるなび」は多くの飲食店に支持されることになりました。
それを追いかけるように、「ホットペッパー」が誕生。
当時、これらのサービスをいち早く取り入れた飲食店というのは感度が高く、センスの良いお店ばかりでした。
そのため、「ぐるなび」も「ホットペッパー」も、当初はある程度ふるいにかけられた「趣味の良い」お店が並んでいました。
しかし、次第にサービスの知名度は高まり、掲載されるお店も多種多様になったことで、「不人気店」が混ざるようになりました。
「ぐるなび」も「ホットペッパー」も広告媒体です。お店側が掲載料を支払い、自由に自店の情報を掲載しますから、みんな見せ方を工夫します。
その結果、ユーザーにとっての信用度が下がりました。
確かに、今ではそれらのグルメサイトに載っているからといって良いお店とは思えないですよね。
会社の飲み会で使うお店をホットペッパーから探して、実際に行ったら全然ダメでがっかりしたこともあります。
そこで2005年に登場したのが「食べログ」です。
ユーザー同士の感想を共有するという新しい発想で、「良い店」を見つけることがとても容易になり、グルメサイトの代表の座を奪いました。
また、「食べログ」はグルメの価値観を変えました。
以前は誰もがお気に入りの数店舗を持っていて、そこを大切に通い続けていました。情報が少ない当時は知らないお店を選ぶことはリスクでした。
しかし、「食べログ」で他人の評価を見ることができるようになり、お客様が積極的に新しいお店を試すようになります。
「お気に入りの店に通う」ことよりも「いろんなお店を試したい」という嗜好に変化しました。お店に通うことの価値が極端に低くなったのです。
こういった流れによって、飲食店の集客マインドが変化しました。
「売上を上げるなら新規客だ!」という認識が一般的になり、
新規客の取り合い状態となります。
グルメサイトのページ上部に表示してもらうために、高額の掲載量を払う。
割引クーポンでお客様の目を引こうとする。
ライバル店よりもページ上部に!値引きを大きく!
それを繰り返し、客数は増えても利益は薄くなり人件費もカツカツ。
クーポン目当てで儲からない一見さんでいっぱいのお店を、少ない人数で回す。
恐ろしいですね…。
ニッチ型のグルメサイト3.0
そんな中、グルメサイト第3世代ともいうべきサービスが登場。
「Retty」「ヒトサラ」です。
これらは「食べログ」等従来のサービスとは大きく異なり、
押さえておくべき特徴があるのですが、
長くなってしまったので私の要約はここまでです!
感想
本書では飲食業界とテクノロジーの関わり方について、実際に「トレタ」というサービスを運営している中村さんの考えを知ることができます。
「商品」の時代から「関係」の時代へ。
というのが中村さんの考えなのですが、その中身とは?必要なことは?
それをしっかり学べます。
これから飲食店のIT化は間違いなく進みます。
予測ではなく、確実に来る未来です。というか、現在進行形ですよね。
そんな中、飲食店で働く我々が大切にしなきゃいけないことは何か。
考えていきたいです!
飲食業界の未来をつくっていくあなた!ぜひ本書を読んでそのご準備を!