ビジネスを哲学する|12. 自信って何だろう?
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同じ人と会う約束をくり返す。
そのうちに、ふたたび会うモチベーションを相手が維持していると見込むようになる。
そうすると、「また同じことをやろう」とわざわざ言わなくなる。それが暗黙の了解になって、「次はいつにしようか」などと言うようになる。
相手のモチベーション維持の見込み。それが、約束にはたらく〈慣性の法則〉の根底にある。
この、「相手のモチベーション維持の見込み」は、じつは、約束をくり返す前から存在している。最初の約束をして相手に会ったときから、すでに存在している。
最初の約束をして、人に会い、おしゃべりをする。おしゃべりを続けていると、やめるのが難しくなってくる。やめたくなっても、「そろそろおしまいにしましょう」と言うのが難しくなってくる。
それは、相手がまだおしゃべりをしたがっているだろうと見込むようになるからだ。つまり、相手のモチベーション維持を見込むようになるのだ。
だから、「そろそろおしまいにしましょう」と言うよりは、「また今度お話ししましょう」と言うほうが、言いやすい。
私たちが人と別れるときに「またね」と言うのは、相手のモチベーション維持を見込んでいるからだろう。相手がもう自分に会いたがっていないと思ったら、「またね」なんて言えない。
それにしても、相手が自分に会ったりおしゃべりしたりするモチベーションを維持していると見込むなんて、私たちって意外と自信家。
この自信があまりない人どうしでは、〈慣性の法則〉ははたらきにくいだろう。お互いに相手がもうやめたがっていると見込んでしまい、ふたたび会う約束をくり返しにくかったり、おしゃべりを続けにくかったりするだろう。(ああ……こっちのほうが自分のことのような気がする。)
つまり、自信のある人どうしでないと、約束に〈慣性の法則〉がはたらかないということだ。
さて、ここまで、「無条件の約束」(交換条件なしの約束)にはたらく〈慣性の法則〉について考えてきた。
では、「交換条件つきの約束」はどうだろう?
こちらのほうが、〈慣性の法則〉が強くはたらいていそうだ。
それはどうしてだろう?
つづく
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