ビジネスを哲学する|17. 目的移入って何だろう?

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人間は、組織の目的を自分の目的にすることができる。

その意味で、組織と自分を一体化させることができる。

どうしてそんなことができるのだろう?

それは、組織が人間に似ているからだ。

まず、組織には目的がある。メンバーに共通の目的があるから、組織が作られるのだった。

そして、組織は目的に向かって行動することができる。このとき、組織はメンバーを手足のように使う。それぞれのメンバーが、共通の目的のために個々の役割を担っているからだ。

共通の目的に向かって行動する組織。組織は、戦隊ヒーローの巨大ロボットのようだ。(いつかの哲学対話でもんちゃんがそう言っていた。)

メンバーはこの巨大ロボットの手足にすぎない。なのに、巨大ロボットの目的が自分の目的だと錯覚してしまう。感情移入ならぬ〈目的移入〉をしてしまう。そうすると、〈恒常的参与〉、つまりワーカホリックの状態に陥ってしまう。

組織が人間に似ていたはずが、人間が組織に似てきてしまうのだ。

「組織の歯車でいたくない」と言う人がいる。けれども、ワーカホリックに陥らないためには、きちんと歯車でいることが大切なのではないか。つまり、あくまで自分の役割をまっとうし、組織に〈目的移入〉しないこと。

ここで、(巨大ロボットではなく)人体を観察してみよう。人体は、歩くことや食べることといった目的を持っている。ところが、個々の細胞(人体のメンバー)は、自分の役割をまっとうしているだけだ。個々の細胞は、歩こうとか食べようということを目的としていない。ただ、人体から栄養をもらい、置かれたところで自分の機能を果たしている。個々の細胞が自分の機能を果たすと、人体は歩いたり食べたりして、目的を果たせるようになっている。

どうして人体はそんなにうまくできているのだろう?組織は人体をお手本にするべきではないだろうか。

 つづく

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