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昆虫は卵を産むと死ぬみたいですよ

先日、大学時代の後輩らに誘われ、"オンライン読書感想会"なるものをした。

オンライン読書感想会とは、5人程度でテレビ電話をして、それぞれお薦めの本を紹介するもの。

やり方は、
①担当者が5分程度で本の内容や感想を伝える。
②それを聞いた人たちが質問したり、感じたことを話す。
③担当者を順番に回していく。

これが意外と盛り上がる。

そこで後輩Yちゃんが紹介してくれた本が
稲垣栄洋『生き物の死にざま』だ。


Yちゃんはオンライン読書感想会で、こんなことを言っていた。

「この本を読むと分かるんですけど、多くの昆虫は卵を産むと死ぬんです。
それなのに、どうして人間は子どもを産んでも生き延びていくんですかね?

と。

え!?
不意の質問に、言葉が出なかった。

昆虫だけではない。
魚など海の生き物の中には、卵を産むと死ぬようにプログラムされた生き物が多く存在する。

実はYちゃんはまだこの本を半分程度しか読んでいなかったそうだ。

どうして人間は子どもを産んでも生き延びるのか?
もしかしたら、この本を読めば、答えが分かるんじゃないか!
そう思って、早速購入してみた。

セミ、ハサミムシ、サケ、カゲロウ、カマキリ、アンテキヌス、チョウチンアンコウ、タコ......

実際に読んでみると、確かに本の前半には卵を産むとすぐ死んでしまう生き物が多く紹介されていた。

そして半分に差し掛かったところ、マンボウの紹介ページにこんなことが書いてあった。

生物が子孫を残す戦略には、たくさんの小さな卵を産む選択肢と、数は少ないが大きな卵を産む選択肢がある。

マンボウは前者で、人類を含む哺乳類は後者の選択肢を徹底的に発達させている。

しかも、哺乳類が産むのは鳥や魚のような卵ではない。母親の胎内で卵からかえった胎児を大切に育てて、さらに産んだ子どもの面倒まで見る。こうして少ない数の子孫を産んで、徹底的に生存率を高める戦略なのである。

つまり、
「どうして人間は子どもを産んでも生き延びていくのか?」という問いの答えは、
「数の少ない子孫を育てるため」と答えることができるだろう。


しかし、である。
小さな赤ちゃんも、やがて大人になる。
子どもがすっかり自立してもまだ、親は生き延びている。

「数の少ない子孫を育てるため」
が答えだったとしたら、
「なぜ子どもが自立したのに、親はまだ生き延びていくのか?」
という疑問がさらに出てくるだろう。

そもそも僕たちの生きていく理由は、子孫繁栄のためだけなのだろか。

この疑問に正面から答えていくことができない限り、僕たちはもはや、生きている意味を失ってしまうのではないだろうか。


仕事と生活に忙殺され、コロナに希望が濁され、人間関係も順調にいかなくなった人が、世界中に溢れている。
もうコップぎりぎり溢れそうなまで、気持ちがいっぱいになった時、誰かの些細な心ない一言がその人のコップが溢れる最後の一滴となり、命は絶たれてしまう。

そこに、"あなたが生きていく意味"という受け皿があれば、どんなに楽だろうか。

それならば、
誰かの受け皿になれるような生き方をしていきたいなと、ふと考えてしまった。

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Okuda Shogo
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