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ヒアリングが苦手なんて言わせない!-営業が最高に楽しくなるヒアリング術-

こんにちは!スターティアラボの小此木です。
今回は営業にとって欠かすことのできないヒアリングについてお伝えしていきます。実のところ私は営業を始めた当初はヒアリングが大の苦手で、俗にいう「説明マン」の代表格でしたが、そんな私でも今では自信を持ってヒアリングが出来ています!このnoteを読んで1人でも多くの方がヒアリングが得意になり、営業が好きになってもらえたら幸いです!

ヒアリングの目的

まず、「なぜヒアリングをするのか?」について考えてみます。色々な答えがあると思いますが、私の結論はただひとつ。

お客様に良い提案をするため

これにすべて集約しています。
良い提案をするというのは少々営業目線な気もしますが、私の中では圧倒的顧客目線の考えです。良い提案をされないことの方が顧客の大切な時間を無駄にしていると思いませんか?価値ある時間にするためにも、営業パーソンは価値ある提案をする責任がありあす。同時に「弊社(私)では良い提案ができません」と早々に判断することも可能になります。

そして目的を定めた後は「その為に何をするか?」ですが、私は大きくこの2つが必要だと思っています。
①顧客の課題を把握すること(共通のゴールを見つけること)
②信頼関係を構築すること

図1

そしてこの2つは相互関係にあり、顧客の課題を把握するための質の高い質問から信頼が生まれ、信頼があるから良い回答が生まれます。では、課題の把握と信頼関係の構築をどのようにしていくのかを解説していきます。

ヒアリング前にすること

ヒアリングをするためにもいくつか準備が必要となります。ここでは2つの準備についてお話しします。

①仮説立て
良い質問を行うには仮説が必要不可欠になります。仮説立てについては多くの方が既に実践されているかと思いますが、参考までに私の仮説の考え方は3C分析を応用した方法です。

図2

自社⇒顧客
顧客⇒顧客の顧客
競合⇒顧客の競合
に置き換えて分析をしていくことで事実の把握ができることと合わせて「ここで困っているのではないか?」、「このような未来が待っているのではないか?」と仮説が生みやすくなります。その際に3Cで集めた事実情報を基にSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)と組み合わせることで、論理立った仮説を作ることができます。その為3Cは感覚値ではなく事実情報であることが大切です。

②プレ提案
私は当たり前にプレ提案という言葉を使っていましたが、調べてみると良い解説がなかったので私の言葉で捕捉します。

プレ提案とは本提案前の提案のこと。いきなり提案をするのではなく、簡潔に提案を行い、どこにニーズがありそうかを確認していく行為。会社概要や商材のコンセプトを中心に話し、自社の方向性やどんな強みがあり誰のどんな悩みを解決できるのかを伝えること。

ここで「この会社(営業パーソン)に共感できるな」「確かにこうなれたら良いよね」と思ってもらうことが大事です。ここでお客様から「yes」がもらえないと失注がほぼ確定します。(※SaaS営業なら特に大事!!)

稀にプレ提案をしなくても売れる営業パーソンがいますが、よほどサービス自体が深く認知されているか、営業パーソン自体がコンテンツとして有名(優秀)であるかのどちらかのケースです。例えば「Twitter経由で仕事になりました!」というケースはサービスや営業パーソンについて理解が深く、すでにプレ提案が実質的に行われている状況です。一般的な営業シーンにおいてはプレ提案は重要になります。

ではなぜプレ提案を行う必要があるのか?ですが、顧客の答えを正しく導くことができるからです。

図3

予め営業側の質問の意図が分かることでお客様は答えやすくなります。例えばあなたは「WEBからのリードを増やすサービス」が強みの営業で、お客様はマーケティング部で「リード獲得」が役割だとします。事前に「WEBリード」というキーワードがあることで、お客様側は展示会やセミナーなどの別リードの話を盛り込みつつも、「WEB上で行っている施策(現状)」を深く話してくれるはずです。プレ提案で共感を得られれば「SPIN」で言うところの状況質問についてはほぼ正確な回答が得られます。

顧客の課題とは何か?

仮説を立て、プレ提案が完了したら顧客の課題を把握していくフェーズですが、ここで大きな落とし穴が存在します。営業パーソンの中には課題の認識が誤っているケースがあるのです。顧客の課題とは何でしょうか?「売上が上がらないこと」、「新規顧客の開拓が上手くいっていないこと」でしょうか。個人的な見解ですが、それらは問題点ではあれど課題とは呼べないと思っています。課題とは理想と現状のGAPにのみ発生します。「A社の課題は新規顧客獲得が上手くいっていないことです」と営業から報告があってもそれは現状であり課題ではありません。

図4

「理想は何件」で「現状が何件」か。そして、そのGAPが生じている要因は何なのか。これこそがその顧客の課題になります。例えばA社の新規獲得目標が月間15社、実際には月間5社だとします。そのGAPは何が原因になって起きているのかを把握します。商談数が◯件足りないのか、案件化率が◯%低いのか、そもそも中間目標がなく理由が不明なことなのか。これらの原因わからずに良い提案は行えません。先程の話しを例に出すと、1日5件商談をしている人に3倍の商談数になる提案をしても受け入れてもらえないでしょう。

図5

課題の把握をするために

課題の認識が統一できれば、ここからは実際に課題を把握していくフェーズです。課題とは現状と理想のGAPにあるとお伝えしました。「なんだ簡単じゃん!」と思いますが、実際にお客様に「理想と現状とGAPの要因を教えてください!」と言っても多くの場合は教えてくれません。ここではよくある失敗への対策をお伝えします。

①尋問になってしまう
「たくさん準備しているのですが、質問が尋問みたいになってしまい課題までたどり着きません。。」という悩みを持っている営業の方もいらっしゃるかと思います。尋問になってしまう気持ち、、とても良くわかります。私も昔は尋問型の営業でした。尋問のようになってしまう営業は得てして頑張り屋で真面目です。頑張って作ったヒアリングシートをとにかく埋めるために矢継ぎ早に質問を繰り出し、気付けば気まずい雰囲気とお客様からの「今日は何を提案しにきたんですか?」と辛辣な言葉。。その頑張りと真面目の矢印を自分からお客様に変えてみましょう。

・尋問の場合・・・
質「あなたの名前は?」
答「小此木将です」
質「ご住所は?」
答「東京都練馬区〇〇です」
質「年齢はおいくつですか?」
答「今年で31歳です」
質「なるほど、、」

・正しい質問の場合・・・
質「あなたの名前は?」
答「小此木将です」
質「珍しい名字ですね!ご出身は?」
答「群馬県です」
質「群馬はたまに温泉旅行に行きますよ!ちなみに今日も群馬から東京へ?」
答「いえ、今は東京都練馬区〇〇に住んでます」
質「そうなんですか!いつから東京にいるのですか?」
答「19歳からです」
質「ではもう東京に来てから長いですよね?」
答「はい、今年31歳なのでもう12年になりますね」

いかがでしょうか?だいぶ都合良く作りましたが、同じ答えを引き出すにも質問によって全く感じ方が違うと思います。前者はそれぞれの質問に相関関係がなく、分断されているため尋問のようになってしまいます。後者の場合は相手の答えに付随して感想と質問を行うことで尋問ではなくスムーズな会話となります。これが頑張る方向性を相手に向けるということです。相手の話しに対してリアクション(感想)と深堀質問をしていきましょう。日々のコミュニケーションにも応用できますね!

②状況質問(現状の質問)しかしていない
「現状の把握はできるんですが、未来への質問の仕方やタイミングがわかりません。嫌われたらどうしようと踏み込むのに勇気がいります。」という方もいらっしゃると思います。逆に「現状」についての質問はお客様もしっかり返してくれるので、営業パーソンからすると「お客様からたくさんお話しを聞けました!」と満足しがちです。ただ、この現在の質問をいくら投げ続けても課題の把握や信頼関係の構築をすることはできません。質問には聞きやすい(答えやすい)順番が存在します。正しい質問の順番は現在⇒過去⇒未来⇒深堀の流れを繰り返して行うことです。
例えば下記のようなイメージです。

営業「クライアントのメイン業界はどちらですか(〇〇業界ですか)?」(現在)
顧客「〇〇業界に力を入れています」
営業「創業時からその業界を中心にやられていたのですか?」(過去)
顧客「はい、起業前に勤めていた会社が〇〇業界でしたので。」
営業「これからもその業界に深く入り込んでいく予定ですか?」(未来)
顧客「実は△△業界にも少しずつアプローチをしています」
営業「それはなぜですか?」(深堀)
顧客「〇〇業界は市場が厳しくなっていて、△△業界に横展開していこうと考えているんです」
営業「△△業界へのアプローチの状況はいかがですか?」(現在)
顧客「いや~、それがなかなか上手くいってないんですよね(笑)」

こういった一連のストーリーも仮説があれば事前に想定しやすいはずです。また、未来に対しての質問では準備してきた仮説を投げかけることもおすすめです。上記の例で言えば「〇〇業界はここ数年厳しい状況が続いていますが、これからは別業界にも踏み込んでいくこともお考えですか?」など。未来に対する質問となぜ?と深堀質問にこそ課題の種が眠っています。

リアクションは命

ここまでの内容を実践するだけでもある程度の課題の把握と信頼関係の構築はできますが、どこまでいっても営業は人と人。ヒアリングは質問だけではなく、回答に対するリアクションでも大きな差が生まれます。これが型化された商談でも受注率や案件化率にバラツキがでる要素のひとつだと思います。リアクションと言うと小手先の技術のように思われがちですが、私はコミュニケーションにおいて非常に重要な要素であると考えています。そんなリアクションにおいてのキーワードは「相づち」、「表情」、「ボディランゲージ」です。

①相づち
相づちの上手さは聞き上手の基本です。ですが、営業パーソンは「ヒアリング=質問」の意識が強すぎて、相手の回答に対する準備が不足している気がします。多くの営業パーソンを見てきて、完全主観ですが相づちにもパターンがありそうだなと分析してみました。

パターン①
(取りあえず)なるほどですね~、ありがとうございます
⇒次に何を質問しようか考えている、間を潰すための相づち

パターン②
さすがですね、確かに
⇒「お前は何を知っているんだ!」と偉そうに思われる相づち

パターン③
うん、へ~、ふ~ん、はいはいはいはい、無反応
⇒礼儀として失礼な相づち

この辺りの相づちを商談開始早々に連発している営業パーソンは注意が必要かなと思っています。お客様に気持ちよく話していただく努力は営業の大切な役割です。

私は商談序盤では「はい」、「えー」などの落ち着いた相づちと「そうなんですか(ね)」と少しテンションの高い相づちを使うことが多いです。商談の前半では信頼関係も構築出来ていないことが多いためフォーマルに受け止めます。そして、中盤になるに連れて(お客様もくだけてきたり、ここだけの話しが出てきたなど)、徐々に言葉をカジュアルにしていきます。それこそ、「はいはいはいはい、えー!、うわっ!、なるほどぉ...」などの良くない例で挙げた言葉を使用します。

「はいはいはいはい、えー!、うわっ!」などと私が言っているときは心から「これあるあるだなー!」と思い、「おぉー、まじかー!」と驚き、「うわー!すげー!」と楽しんでいる瞬間です。なるほどぉ...と言っているときは深く感銘を受けたときですね。胸に刺さるお話をお客様がしてくれたのであれば、営業パーソンも感動の相づちをすれば良い、楽しい話しやビックリした話しなら心から楽しんだ方が相手にも伝わります。私は商談中盤以降は(信頼関係が構築され始めてきたら)、何を言うかよりどう言うかが大切かなと思っています。無理に最初からテンションを高めたり、常にかしこまるのではなく相手の温度に合わせた相づちがベストです。

②表情
電話営業の方を除いては、オフライン・オンラインともに自分の顔がお客様に見えているはずです。どんな顔でいれば相手が話しやすいか、相手に伝わりやすいかを完全に我流のSTEPを作ってみました。

STEP1 自分の顔を把握する
人間の顔の造りは多くの場合が左右非対称です(目の大きさ、口角の上がり方、ほくろの位置など)。自分の効き顔を把握しましょう。美容師さんはお客様の効き顔を見て分け目や髪形をアドバイスするという話を聞いたことがあります。ちなみに私は高校まで野球部で坊主だったので、髪を伸ばし始めて初めて行った美容室で「小此木さんは右目の方が大きく、目の下に良い感じのホクロがあるので右側を見せた方が良いですよ!髪の毛も左側に流して右側が出るようにしましょうか!」と言われました。印象の良い顔を公私ともに見てもらいたいですよね(笑)
STEP2 正しい微笑みで話しを聞く
笑顔が不自然、嘘っぽいと言われた経験のある方はいらっしゃいますか?正しい笑顔には順番があります。自然な笑顔はまず口角が上がり、その次に目尻が下がると言われています。純粋無垢な赤ちゃんを見ていると正にその順番で笑っていることがわかります。笑顔が苦手な方は目で笑おうとしますが、本来は口で笑うのが正解です。そして、口角だけが上がっている状況が微笑んでいる状況に最も近いはずです。相手の話を無理に満面の笑みで聞く必要はありません。是非、口角だけを上げてみてください。また、こちらがポジティブな話をする際にも口角だけを上げて伝える方が効果的です。
STEP3 話しを聞き終わったら正しい笑顔へ
相手の話しを聞き終わったら、口角が上がっている微笑み状態に目尻を下げて笑顔の完成です。(もちろん悪い話をしているときに笑顔で話を聞くことはNGです)

③ボディランゲージ
個人的には営業はどんどん動いて良いと思っています!(笑)
面白ければ手をたたき、驚いたときには前のめりになったり仰け反ったり、言葉で伝えきれないときは手で表現したり、折角ある体を最大限使いましょう。そして、多くの方がご存知であろうメラビアンの法則でも視覚情報の重要さが説明されています。これは前述の「表情」も視覚情報に入ります。

図8

そして相づちは言語情報もそうですが、聴覚情報の役割も果たしています。私が信頼関係が作られ始めてきたら、心から楽しむ、感嘆するべきだとお伝えしたのはその為です。

ここで間違った解釈をしてほしくないのですが、決して嘘をつきましょうと言っているわけではありません。営業として一種の演者となりオーバーアクションをすることはありますが、誠実に真摯にお客様に向き合いましょう。冒頭でお伝えしたようにヒアリングの目的は「良い提案をすること」です。どうしたら売れるかではなく、どんな人から買いたいか、どんな人と話したいか。顧客視点は絶対に忘れてはいけません。

最後に

SPIN話法についてはここでは触れませんでしたが、既に多くの記事や有名な書籍がありますし、今さら私が解説しても、、と思うので、ここではおすすめの本をご紹介します。(そもそも営業のことについてnoteを書いている時点で今さらだろ!というツッコミはご容赦くださいww)

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

そして、BANT(Budget「予算」、Authority「決裁権」、Needs「必要性」、Timeframe「導入時期」)についても書きたかったのですが、BANTについてはクロージング(テストクロージング)のnoteを書く際にお伝えできればと思います。

最後に私が良く使っているフレーズをお伝えして締めます。

「〇〇様には悩みなんてないんじゃないですか?」
⇒悩みや問題点が見つけられなかった場合の質問
「その中で最も〇〇様(御社)の負担になっているのはどちらですか?」
⇒悩みや問題点が多く絞り切れない場合の質問

「そのお話しはよく伺います(私のお客様でもよく仰います)」
⇒業界あるあるな話しの場合の相づち
「とても珍しいですね(初めて聞きました)」
⇒予想に反した回答だった場合、業界あるあるの逆だった場合の相づち

ちなみに、そういえば、でしたら、最後にひとつだけ
⇒質問する際のクッション言葉

正直なところ、〇〇様個人としては
⇒本音を知りたい場合のクッション言葉

以上、いかがでしたでしょうか?
ヒアリングで悩みお客様と対峙することが怖いと思う営業パーソンが一人でも少なくなり、「営業って最高!楽しい!」と思う方が増えてくれれば私も最高に嬉しいです!みんなで営業を楽しんでいきましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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