大学に進学していない人ほど「大学進学にはお金が掛かる」と思い込みがち
保護者との面談の中でよく出るのが「私立大学には行かせられない」という言葉です。
俳優の高知東生さんは上のようなTweetをしています。
大学進学率の低い地方都市では、こうした認識の人が結構な数存在します。
では本当に「大学に行きたければ行かれる制度」は現在の日本においては存在しないのでしょうか。
大学に行くことへのハードル
大学に行くことへのハードルに関しては2種類が存在します。
それは経済的な問題と学力的な問題です。
経済的な問題
大学に通うために必要な金額は、私立大学と国公立大学で異なります。
私立大学の場合、文系では年間100万円弱、理系の場合は120万円強です。
医学系、薬学系はこれよりもかなり高額になります。看護系に関しては以前に記事を書いたので参考までに。
国公立大学の場合、一律で約60万円となります。
国公立大学といえども、たしかに高額ではありますが、奨学金などを活用すればそれほど捻出するのに難しい金額ではありません。
しかし、公私を問わず大学には学費免除や軽減の仕組みが存在しますので、扶養者の収入が一定以下の場合はほとんどのケーズでは何らかの認定を受けることが可能です。
学力的な問題
国公立大学はそれなりに入試難度が高いため、学力的に断念せざるを得ない人も多いでしょう。
そうした人たちにとっては、支払い可能な国公立大学へ入学ができないため、高額な私立大学へ行く資金が準備できない、ということになります。
しかし、果たして本当にそうでしょうか。
先述のように私立大学にも支援制度は存在していますし、そもそも国公立大学が一律に難しいというわけではありません。
「公立大学」のような場合は、試験の教科数を絞ることも可能で、河合塾の偏差値で45.0ぐらいの難度を探すのはそれほど難しくありません。
3教科での受験が可能な地方の国公立大学であれば、生活コストも低くて済むため、一石二鳥となります。
とはいえ、それでも学力的に難しい場合はどうすればよいのでしょうか。
第3の選択肢「大学校」
日本には文科省が管轄をする「大学」以外にも、「大学校」という他省庁が管轄する高等教育機関が存在します。
防衛大学校
防衛省管轄の防衛大学校は自衛官、特に幹部自衛官になるための養成機関です。
しかし、大学としての機能も有しており、卒業すれば学位を取得できます。入学に際しては国籍や身体能力などの学力以外の要素も必要となります。
学力試験のレベルは近年低下しており、理工学系の場合は河合塾の偏差値で50となっています。(人文社会科学系は62.5と高くなっています)
ここはすべての学費だけでなく、衣食住のほとんどが無料、しかも給料まで出ます。
水産大学校
水産大学校は農林水産省が管轄する大学校です。
水産や流通、海洋機械などを中心に学ぶことができる学校です。当然学位も取得できます。
入学難度は偏差値40~42.5となっているため、国公立大学に届かない受験生でも合格する可能性のある大学です。
費用は国立大学とほぼ同じ金額の為、私立大学へ行くよりも割安となります。
職業能力開発総合大学校・職業能力開発大学校
厚生労働省が管轄するのが上記の大学校です。
職業能力開発総合大学校は東京に位置し、学位を取得することが可能です。
入学難度は偏差値40~42.5と決して高いレベルではありません。
職業能力開発大学校は日本中に10校存在して、頭に地名(九州職業能力開発大学校)がついています。
こちらの大学校は学位を取得することができませんが、就職時には大卒として扱われます。
入学難度は、総合~よりもさらに入りやすい難度となっています。
どちらも学ぶことのできる内容としては工業系を中心にものづくりなどを行う技術の習得をすることが可能です。
学費も国公立大学とほぼ同じですが、これらの職業能力開発系は学生支援機構の奨学金を利用することができません。
(その代わり、技能者育成資金融資制度などを利用することが可能です)
「大学に行けない」のではなく、「仕組みを知らない」ことが問題
このように大学進学においては様々な奨学金や軽減措置、そして学費面で優遇のある学校が存在しています。
しかし、多くの人たち、特に大学などの高等教育機関へ進学をしていない人たちにとってはそうした仕組みが周知されていないことが大学進学へのハードルを上げているように感じます。
もちろん、より一層の支援制度の充実は必要ですが、もっとも必要なのはそうした仕組みや学校の存在を国民に知らせる、という活動なのではないでしょうか。
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