【題未定】デジタルかアナログか?学校現場が模索する共存の形【エッセイ】
ICT教育が日本全国に広まったのはこの数年だ。コロナという突発的なトラブルからのGIGA前倒しという副産物が短期間におけるそれを可能にした。現在は多くの学校でタブレット端末を用いた教育が行われる土壌は整備された。
しかし一方で端末が死蔵化した学校も少なくないという。教育業界の悪弊によるデジタル蔑視とアナログ礼賛主義、それに加えて高齢教員の拒絶反応もその原因と言われている。書類による手続きを義務付けるケースも少なくないようだ。
私自身は、と言えば勤務校はそれなりにデジタル環境は整っているため、利活用に関してはそれなりにできている。そもそもICTやデジタル端末は趣味的に使っていることもあって、授業の中に組み込んで日々活用している。
ところが導入から2、3年が経ち、利活用状況に関しては目新しさが落ち着いて、かなり日常に馴染んできた。そのため、デジタル化、ICT化出来た部分と、アナログ的な活動の住み分けがはっきりできるようになった。
例えば私の授業の場合、プリントの配布や回収に関しては基本的にデジタルで行っている。生徒の端末にプリントデータを送り、提出も同様だ。この結果、プリントの印刷にかける時間が大幅に短縮されて業務改善につながった。
一方でデジタル黒板に関してはあまり使わなくなった。もちろん教材を映し出すツールとしては毎日のように使っているが、板書したり書き込む場合はやはり従来の黒板やホワイトボードの方が相性が良いように感じる。特に時系列順に書きながら説明をする形式の場合、やはり手書きに分があるようだ。(個人的な感想としては)
したがって私の授業スタイルの場合、プリント、ノート等は基本的にデジタル化しているが、一方で説明などはアナログとデジタルを併用した形にしている。また、教科書や参考書に関してはアナログな紙のものを使用している。デジタル版も併用していて、ワード検索の場合はデジタルに、ざっくりと見返したりするなどの総覧性ではアナログに軍配が上がるようだ。携帯性などを考えればデジタル版のみが好ましいが、現時点の状況では併用が最も学習効率が良いように感じる。
ICT化が一周した事でデジタル化の問題や弊害が見えてきた。これはスマホのトラブルといった人間関係の問題ではなく、教材や文具的観点から見たデジタル版のメリット、デメリットという点においての話だ。デジタルは携帯性や検索性に優れるが直感的な扱いが難しい。一方でアナログの良さもまた見えてきた。即時性や直感的な理解においてはデジタルの及ぶところではない。
現状の学校現場には2種類の人間が存在する。何が何でもすべてをデジタル化しようとする革新派と、かたくなにアナログにこだわる守旧派がそれだ。しかしデジタル化の最適解はこのどちらの世界にも存在しないだろう。共存と併用の先に存在するのではないだろうか、と考えながら日々試行錯誤しているのだ。