目的意識の上に成り立つ経営思考をのぞき見! 株式会社LEAPH河原崎社長にインタビュー
経営者と就活生の接点をつくるWEBメディア、静岡みんなの広報。
私たち学生取材班は、このメディアを運営する株式会社LEAPH(リーフ)の河原崎幸之介社長にインタビューをしました。
河原崎社長は、経営者になるまでに二度の転職を経験されています。
期待の就活生に投げかける言葉は“ネガティブなフィードバック ”、それはなぜ? 社員から、「会話をしていても、社長らしく感じない」と言われる河原崎さんに迫ります。
▼前回の学生取材記事はこちら▼
学生取材班
経営者と周りの人との接点
——社員の方々とは普段どのようにコミュニケーションをとっていますか?
話しかけられやすいような空気感をつくるように意識しています。
これは社員だけでなく、お客様との会話でも意識しているのですが、話し相手に“自分のことを知っていてくれている”という安心感を持ってもらうことが重要だと思っていて。
なので、相手のことを理解するように意識して行動しています。
たとえば「一を聞いて十を知る」という言葉があるように、私は相手の話を少し聞けば、その意図をおおよそ掴むことができると感じています。相手が言葉にできずにいるメッセージを汲み取る能力が高いというか。
きちんと相手の話を聞いて理解していると示し、相手に寄り添った返答をすることで、話しやすいと感じてもらえていると思います。ですから社員からは、「社長は相手の思考を先読みする癖がある」なんて言われることがあります。
あと意識しているのはキュートな笑顔とか?(笑)
——社員やお客さまとの関わり方から、河原崎さんがコミュニケーションを大事にされていることがわかりました。ところで河原崎さんは就活生や新卒の方とお話しされる機会はあるのでしょうか?
現在はほとんどありません。昔は就活生のお悩み相談みたいなものをボランティア的に受けていたのですけど。
会社の業務で時間を割けなくなってきたんです。そのため、目的が明瞭でなければ会わないと決めています。まあ、就活生と関わる中で、ただ「悩みの相談を聞くよ」ってスタンスだと、ちょっと嫌なおじさんじゃないですか(笑)
基本的に就活生と会う時は、うちに入社してくれそうか、私たちが採用するか否かを確認する目的が多いですね。
——私たち学生や就活生は社会人と比べて未熟に見えると思います。社会人として、就活生とコミュニケーションを取る時に意識していることはありますか?
社会経験がないからといって、社会人と比べて子ども扱いしないことです。
結果的に、就活生に対してネガティブなフィードバックをするときもあります。就活生に好かれようとか嫌われようとか思って言っているわけではないからです。
就活の時、ほとんどの大人が激励みたいなポジティブな言葉をかけてくると思います。
でも、就活生その人を理解して、最善の策を取ろうとすると、 ポジティブに頑張ろうって伝えるだけではいけません。「就職活動の時、〇〇する癖は足枷になるかもしれない」というネガティブなアドバイスを伝えることも、本当は大事です 。
だから私は関わる就活生に向けて、改善できる部分を指摘することもあります。
河原崎社長の経歴
——河原崎社長が経営者を目指したきっかけを教えてください。
起業家の生き方に憧れて経営者を目指しました。
大学2年生の頃に、『ベンチャー通信』 という、ベンチャー企業の社長のインタビュー記事を載せた冊子と出会ったことが進路の転機だったと思います。
はじめて記事を読んだ時、衝撃を受け、“自分で会社をつくるのも面白いんじゃないか”と考えるようになりました。それから起業家の方々の本を読むようになりました。
以後は、経営者を目指してどんな力が必要かを考えて活動してきました。起業するまでにどんなキャリアを積むべきか目的意識を持つようになってきました。
進路選択では、起業するまで社会経験を積める場所としての就職先を探しました。お金を稼ぎながら、社会を知るとともに、経営の勉強をしようと考えた感じです。
学生時代はとにかく本を読んで経営を学びました。そこで経営に大事なことは営業だと、どの社長の本にも書いてあったのを覚えています。なので、新卒では営業職に就職しようと考えました。
結果的に人材業界の営業職に就職しました 。人材業界はさまざまな業種に関われる点が、経営者を目指すにあたってはとって魅力的だなと思ったんです。
——ありがとうございます。ここまで学生時代の話をお聞かせしていただきましたが、そこからどのように経営者を目指していったのかを教えてください。
新卒からしばらく働いて、会社から昇進の誘いを受けました。しかし、同時にそのまま人材業界の営業職の上に進んで行ったところで、経営者へのキャリアアップに繋がるのか疑問を持ちました。
結局、その時の私は海外への転職を決意しました。というのも、ライフネット生命を立ち上げた出口治明さんと岩瀬大輔さんのセミナーに参加をしたことがきっかけです。
そこで聞いた「これからの時代はグローバルだから、グローバルなビジネスをしていかないといけないよ」という言葉が強く印象に残っていました。
勢いで私はアメリカのITの会社に飛び込みました。
新卒で営業職を選んだ時と同じように、経営者になるためのスキルを身につける目的で転職しました。アメリカでは国境を超えた視点と ITのスキルを、仕事をしながら学ばせてもらいました。
その後は、ビザが切れたことをきっかけに日本に帰国しました。
帰国してから転職先に悩んでいたのですが、営業職時代の先輩からの紹介で、仕事を任せてもらえるようになりました。そこで個人事業主として登録して、業務委託の仕事を増やしていくようになったのが経営者としてのスタートでした。
あんまりキラキラしたエピソードじゃないですよね……。
——そんなことありません! 経営者になるまで、転職を通じてさまざまな仕事に挑戦してきたようですが、営業の仕事は今の経営の仕事にどのように活かされていますか?
経営で採用をしたり仕事を掴んできたりする時に、営業で覚えたスタンスが活きていると感じます 。
具体的に言うと、先の質問でもお答えした 「相手のことを理解する姿勢 」は営業職を通して学びました。
「こんな商品あります。この商品が良いですよ」と伝える営業ではなく、「あなた会社はこんな問題やお困りごとがあるので、この解決策で解決できます!」と問題に対して解決策を提示していくことで、売上につながります。
それも、相手が抱えている問題を理解する姿勢があるからだと思っています。
このスタンスは採用にも活かせます。たとえば、自分の会社の抱えている問題を解決するために、どんな人を採用したら良いかを考えることができます。
または、就職活動している人が悩んでいることや将来実現したいことに対して、「うちの会社で実現できるよ」とか、あるいは「実現する近道になるよ」と解決策として自社への就職を提案することもできます。
これも、就職活動している人のことをよく理解するところから始まっています。
——どのように相手を理解する姿勢を確立していったのでしょうか?
営業の仕事の中で確立されていったと考えています。
営業しながら 、自分の営業を振り返ったりとか、営業の本を読み漁ったりとか、先輩たちがフィードバックをしてくれたりとか。
とにかく試行錯誤していくうちに、自分の考え方が確立されたと思います。
人生をどう生きるか、答えなんてない
——最後に、河原崎さんの人生で心に響いた言葉があれば教えてください
『夜と霧』という本をご存知ですか?
アウシュビッツ強制収容所に収容された心理学者が、絶望の中で生き残った人とそうでなかった人では何が違ったかを分析した本です。
その中に、「生きる意味」についての話が登場します。
みんな生きる意味を探すじゃないですか。
しかし、「人生に意味を問う」のではなく、「人生から意味を問われている」といったことが、本には書かれています。
生きる意味は、経験や関心をもとに自分自身で意思決定し見出すものなのです。だから、人生をかけて自分の生きる意味に答えを出そう、と。
人生をどう生きるか、答えなんてない。すでに形ある結果を求めるのではなく、この長い人生をどう生きるか、どう生きたかっていう過程が大事なんじゃないかなって、私は考えます。
——行動力に繋がるような言葉だと思いました。河原崎さんのキャリアアップのイメージとぴったりです。 ありがとうございました!
〈撮影場所・協力〉
静岡市コ・クリエーションスペース
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