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東京でOLをしながら小説を書いていた頃

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だいすきでだいきらいだった東京。
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#東京

渋谷駅で写真を撮っているのなんて、たぶんあの瞬間は私だけだった

渋谷駅で写真を撮っているのなんて、たぶんあの瞬間は私だけだった

To 1年前の私
CC これからの私

お元気ですか。
突然ですが、今から大切な話をします。

1年後の今日あなたは、あなたがこれから通い始める会社を退職致しました。

自分で考えて決めたことです。

今のあなたに話しても、何ひとつ信じられないかもしれません。

だってあなたは今、自分が「普通」のレールにのれたことに心底安堵しているだろうから。
それだけがあなたの自己肯定感をぎりぎり保ってくれてい

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近況 2022.4.3

近況 2022.4.3

 泣き腫らして10時半。

 私に処理できる問題と、処理できない問題は分けて考えなきゃ、と思い至る。 
 
 血縁のこととか、考えるとおかしくなっちゃいそうなこととか、色々悩みはあるけれど、私が泣こうが喚こうが、どうにもならないことはどうにもならない。

 せめて私は私の暮らしをやるしか、ない。
 
 最近は暮らしが崩壊していた。転職と引っ越しを同時に行うことになり、その準備とこれからの不安で息が

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渋谷センター街の祈り

渋谷センター街の祈り

8月2日月曜日。
渋谷で迷子になった。

人身事故で遅延した電車。
冗談みたいな量の出口。
差し迫る予定時間。

筋金入りの方向音痴。
不安定な精神状態。
気温はじっとり33度。

あまりに重なった悪条件。

地図を見ても全くわからず、
パニックになるだけだった。

ならば聞こうとしたけれど
人々は止まってくれなかった。
私はセンター街の真ん中で
圧倒的に透明人間だった。

どうせわからないならと

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渋谷スクランブル交差点で狂う

渋谷スクランブル交差点で狂う

可愛くないと殺される街、渋谷。
ある詩人が、かつてそう歌った。

私は殺されるだろうかと、
怯えながら歩くセンター街。

学生の頃、早く起きすぎた朝や眠れない夜なんかに、よくスクランブル交差点の定点カメラ映像を眺めていた。
この中に自分が混ざる未来と、一生混ざらない未来を想像した。

いつか、この定点カメラの前で狂ってみたいと思っていた。

結局、混ざる方に人生は動いた。
けれど混ざった自分が、こ

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