相模湖〜鎌倉へ!55km歩いてみた!
佐渡ヶ島に一緒に行ったマッキーと相模湖から鎌倉駅まで55kmを約11時間30分かけて歩きました。
歩いたきっかけ
マッキーとは週1回、鎌倉の山や海岸を一緒に裸足で歩いているのですが、「歩いたことない距離を歩いてみたいね」という話になり、今回自分の歩く限界にチャレンジしてみました。
僕は、3ヶ月前の9月に奈良県〜和歌山県に繋がる大嶺奥崖道を7日間縦走したのですが、その時よりもコンクリートの上を一定のペースで歩き続けた今回の方がある意味きつかったです。
今回歩いた記録
最初に、今回歩いた記録から。
距離→55.15km
時間→11:36:49
歩数→81,331
出発!
朝5時に相模湖をスタートしました。
朝の気温は5度。
足の指先が冷たく感覚が鈍くなってきました。
数日前に足裏を切って痛みがあったのですが、その痛みも感じなくなりました。
手の指先もかじかんで思うようにスマホが操作できません。
吐く息も白く、日の出が待ち遠しい!
しばらく歩くと身体がぽかぽかして来ましたが、手足の指先だけはまだ冷たく感覚が鈍くなっている状態でした。
日の出
1時間半ほど歩くと空がだんだん明るくなって来ました。
朝焼けがとてもきれい。
これから1日がスタートする感じでワクワクします。
そしてついに太陽登場!
空に広がっていた朝焼けが一気に太陽に集約されて強い光を放ちます。
この瞬間のエネルギーはすごい!!
元気が湧いてきます!
太陽が昇ると気温が上がり、手足の指先の感覚も戻って来ました。
太陽は偉大!太陽に感謝!
現代みたいな家や暖房器具がない環境で夜明けを待たなくてはいけなかった大昔の人たちは、太陽が昇るのがもの凄く待ち遠しかっただろうと思います。
太陽や自然を崇拝して生活していた気持ちがわかりました。
森の中へ
しばらく国道沿いを歩いていたのですが、ある地点から峠道に入りました。
峠に入る前の田園風景も素晴らしかったです。
そして峠道に入り、森の中を進んで行きました。
森の中に入った時、マッキーが「幸せ〜」と言いました。
僕も同じ感覚でした。
国道沿いを歩いていた時は感じなかったけど、森に入った途端色々な感覚が開く感じで心地よく穏やかな気持ちになり心身が満たされる感覚になりました。
足取りも軽くなりました。
物にとらわれない、ただ自然の中に自分がいるという感覚。それを感じるだけで心身は満たされて豊かな気持ちになります。
「幸せの定義は自分の感じ方次第だね」とマッキーと話しました。
そして、志田峠と書かれた看板のところに到着。
この先の道はススキが群生していて、とても爽やかで清々しい気持ちになりました。
今回歩いた道でここが1番お気に入りでした。
歩くという豊かさ
効率を求める現代。
車、電車、新幹線、飛行機、リニアモーターカーなどスピードと快適さを追求し、移動時間を大幅に短縮することが可能になっています。
相模湖〜鎌倉駅は歩くと11時間半ですが、車なら1時間半で移動できます。
そんなスピードを重視する現代において、あえて歩くという時間に費やすことは人間として豊かだなと思いました。
車では一瞬で通り過ぎてしまう景色も歩いていると気づきや発見が多く、何でもないようなことでも話が盛り上がり充実感を感じました。
また、歩きだからこそ通れる道や、歩きだからこそ出会える動物など、色々な出会いと体験ができました。
川の流れる音、風の冷たさ、太陽の暖かさ、木々の美しさなど自然を肌で感じることもできました。
狩猟採集民
スタートから9時間、トイレに2度行っただけでそれ以外は1度も座ることなく歩き続けました。
身体の限界を知ることも目的のひとつだったのでペース配分関係なしでとにかく歩きました。当然身体には負担がかかり色々な変化や症状が出て来ました。
最初は股関節に疲労を感じ始めて、終盤は足の甲が着地する度に痛くなりました。
部分的な疲労感や痛みによって、普段はなかなか気づけない自分の身体の使い方の癖がよくわかりました。
身体を酷使しながら9時間も歩き続けていたわけですが、そもそも目的を伴わない歩行は移動ではなく散歩です。
今回は移動する目的がありました。それは、藤沢にあるへっころ谷というお店でほうとうを食べることでした。
ほうとうを目指して朝から水分のみで軽い飢餓状態のまま歩き続けました。
この飢餓状態で動いて食べるという行為は人間の本質的なものです。
原始時代の狩猟採集民は生きるという絶対的な目的のために食べるものを探して移動していました。
常に満腹の状態なんてなくて、飢餓状態が当たり前。
だからそもそも人間には「動いてから食べる」という仕組みが備わっているのです。
脳は生命維持のために栄養を摂ることに必死です。
食べ物を得るために動き回り食べた瞬間に報酬系が働いてドーパミンが放出されて満足感や達成感、幸福感を感じられます。
しかし、現代では動かなくても好きな時に好きなだけ食べれてしまいます。
しかも、砂糖たっぷりのお菓子や高カロリーの食べ物がたくさんあります。
動いてないのにそれだけ刺激的な食べ物を日常的に食べてしまうと、簡単にドーパピンを放出できてしまうので、中毒性が高くなり動くことに対してやる気が起こらなくなってしまいます。
それにより人間本来の仕組みが壊されると、肥満やメンタル不調など脳と身体のエラーが起こります。
今回の道中でも誘惑がたくさんありましたが、目的のために歩くという覚悟があったおかげで9時間歩き続けて最高に美味しいほうとうを食べることができました。
ラストスパート!いざ鎌倉へ
へっころ谷で9時間ぶりに座って食べたら、疲れが一気に出て来ました。
それまではアドレナリンが出ていたこともありそこまで疲れは感じてなかったですが、止まった途端にものすごく疲れが出ました。
へっころ谷を出発してすぐは、身体が重く、かなりペースダウンしてました。
心が折れそうになり藤沢をゴールにすることも一瞬過りましたが、ここでやめたら後悔すると思って鎌倉駅を目指し歩きました。
しばらく歩いていたら、身体の重さと「もうダメかも」というネガティブな気持ちは消えて、ひたすらにゴールを目指して一歩一歩前へ進みました。
でも足は痛い・・・。
日が沈み始めました。
とても綺麗です。
強いエネルギーを感じる朝焼けも良いですが、穏やかな夕焼けも良いものです。
太陽が昇り、沈むまで歩き続けていたと思うと感慨深い気持ちになります。
自然のリズムとサイクルを実感できました。
鎌倉駅まで目前に迫ったところで、すっかり暗くなりました。
この最後の2kmのストレートな道が今回1番きつかったです。
知っている道なので距離感もわかっているし、足も痛いし、なかなか進まない感覚でゴールがとても長く感じました。
そして、ついに鎌倉駅が見えて来ました!
ゴーーーーール!!!
55.15km、11時間36分の旅が終わりました。
このあと、温泉に入って焼肉を食べて帰りました。
やったことないことにチャレンジして、自分の身体と向き合えて、色々な景色を見れた最高の1日でした!
人間の可能性
今回歩いてみて思ったのは、
現代の便利で快適な生活の中で、相当人間の本来の力は閉じ込められているということ。
しかも、いつの間にか自分で自分の限界を決めつけてしまっている。
都会で暮らしていると徒歩30分でも長いと感じてしまう。
でもそれは完全に思い込み。
人間本来の身体能力や移動能力、自然治癒力、姿勢や動きの調整力は僕たち現代人が思っているよりも何万倍もすごいし、大きな可能性を秘めています。
でもそれは、安心安全の領域を抜け出してみないと現代では気づくことができません。それでいつの間にか心身に負担がかかり、生きづらさを感じてしまうこともあります。
安心安全で効率を重視する現代だからこそ、たまにはそこから抜け出してみてあえて非効率で不便なことをしてみると、人間の力と可能性を感じることができます。
だからこれからも、どんどん色々なことにチャレンジして自らが体験して、トレーナーとして必要としている人に伝えていきたいと思います。