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2.母の介護①

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心がえぐられた瞬間

心がえぐられた瞬間

介護をしている母の
片側のお尻の
足との境くらいの所が
痣のように黒ずんでいて

お尻の痣について
介護関係の方から何度か聞かれたり
ドーナツ枕を使うようにとか
色々と言われて
使うようになったが

気づくとドーナツ枕が
お尻からずれていることが多く
本人の使い勝手もよくないようで
段々と使わなくなっていった

お尻の痣については
いつからできたものかもわからず
母も特に痛みを訴えていなくて
うち

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しおれてしぼんだ

しおれてしぼんだ

生気を全くなくした
土気色の顔の母が
「火にかけてたのを忘れた」と
仕事から帰ってきた私に
助けを求めるように言いに来た

母は鍋だか、やかんを火にかけて
そのまま忘れてしまったようで
部屋がちょっと焦げ臭かった

そのことを一緒に家にいた父に
ひどく叱られでもしたのか
母の顔は生気を吸い取られて
すっかりしおれて、しぼんで
ぼそぼそと吐くことばも弱々しい

母のこんな姿は
初めて見た

というか

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真っ赤な頬

真っ赤な頬

私が社員旅に行く日の朝にいなくなった母は

ひとりで近所の公園に行き
そこで転んで
顔の片側の頬全体をすりむいて
当分の間、通院が必要になった

歩いて15分ほどの
母が救急車で運ばれた病院までは
足元がおぼつかない母のために
行き帰りはタクシーを使った

病院にいくと
頬のガーゼをはがされ
傷がまだ乾いていない
真っ赤な頬があらわになる

消毒をして
薬をつける

どれだけの痛みに耐えているのか

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突然母がいなくなった朝

突然母がいなくなった朝

ふと気づいたら家の中のどこにもいない
私が社員旅行に行くの日の朝
母が突然いなくなった

何度探しても家の中のどこにもいない
家の外も探したが見当たらない

家の中でも伝い歩きで
足元もおぼつかない母が
一体どこに行ってしまったのか

今までこんな風に
突然いなくなることもなかったので
全く想定外の出来事で
事故やケガの心配や
最悪の事態までもが頭をよぎる

社員旅行とはいっても
その年はいくつか

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真冬の夜遅くに介護中の母と何故タクシーに?

真冬の夜遅くに介護中の母と何故タクシーに?

医師の診察が終わり
寝問着しか着ていない母に
自分が着てきた冬物のロングコートを着せて
真冬の夜の厳しい寒さに
母が震えることのないように
しっかりコートのボタンもしめて
母と二人、タクシーに乗って家に帰る

会社のブラウスとスカートの制服に
カーディガンを羽織っただけの私は
タクシーの中でさえも
さすがに寒さが堪えるが
母からコートを脱がすわけにはいかない

昼間、母はお腹が痛くなり
そばいた父

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露程も思わなかったこと

露程も思わなかったこと

このまま家でもみていけそうだ

母が老健から一時退所して家に戻ってきたが
一定期間が過ぎたらまた老健に戻る予定で
老健の職員の方からも「またね」といって
送り出してもらった

しかし母が家に帰ってきて
日常生活を送っていると
老健に入所する前より足腰もしっかりして
人に頼らず自分から何でもしようとする
自主性も身についていた

そういえば、老健入所中に面会に行くと
母は歩行器を使い必死な顔で
一生

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