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5.介護がおわってから

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#介護日記

うしろからこっそり

うしろからこっそり

いつもと少しちがう道を通って
近くの商店街まで行く途中
ある細道のところに差し掛かった時に

よろよろと歩くようになった
今は亡き父が、転んだりしないか心配で
見つからないように、こっそりと
後ろから父を見守りながら
歩いた道だったことを思い出した

父の足腰が段々と衰えてきて
歩くスピードもゆっくりになり
はたから見てもハラハラするくらい
よろよろしながら歩いたり
自転車にも乗っていた時期で

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罪悪感

罪悪感

仕事以外で出かける
たいていの
自分が楽しむための外出

友人とランチに行く
ひとり旅をする
ライブに行く
ボディボードに行く
等々・・・

約束をしたり
計画を立てる段階から

楽しみな気持ちと
介護が必要な家族がいるのに
放って出かけるという罪悪感は
いつもセットになっていた

もちろん
自分がいない時に
何かあっても問題がないように
デイケアやショートステイや訪問介護は
必ず手配していたけれ

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帰ってきた

帰ってきた

母の出棺が終わり
車が火葬場へ向かう途中
母の通ったグループホームの前に続く
坂道の角に差しかかると
グループホームの職員の方の姿が見えた

出棺から火葬場へ向かう途中に
故人縁の地に立ち寄る
葬儀会社のサービスで
10年近くお世話になった
グループホームに立ち寄る時刻を
職員の方に知らせておいたので
母を乗せた車の到着を待っていてくれたのだ

そして車がグループホームの前に停車すると
グループホ

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