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[本・レビュー] 株価予測の技術 決定版

投機筋の動き、政府の政策など、金融市場では推測可能な事象が起こり得る。これらの情報を活かして、投資戦略を立てよう。


勝ち続ける投資家になるための株価予測の技術 決定版

伊藤 智洋著   日本実業出版社


本書はEPS、ROE、ROAなどの基本的な指標がわかりやすく説明されていますが、入門書としては、使いづらいと思います。

 しかしながら、株式投資への知識がある程度お持ちの方には、追加の貴重な情報源となるかもしれません。

 本書のメリットは、投機(超短期の資金投入)、中長期の投資どちらにも有益な情報をもたらしてくれる点です。

 通常、中長期の投資を推奨する本では、投機筋や政府の政策に伴う株価の変動幅についての解説はあまりなされません。

 本書は、そういった『株価の振れ幅』についてわかりやすく解説されており、企業の業績に関係ない株価の変動に対しての理解を深めてくれます。

 "日経平均の年間の値動きは、資金移動の事情があり、そこに投機が乗ってくることによってあらわれている。取引量が多くなりやすい時期は株価が上昇しやすいため、投機が積極的に買いで入りやすく、取引量が少なくなりやすい時期は株価が下げやすいため、投機が積極的に売りで入りやすいと考えられる" 

 と説明されています。

 このような傾向から

 "過去の経験則をみれば、日経平均は、
・前年9月から1月の範囲で底値をつける
・3月から6月頃までに最低でも2000円幅以上の上げ場面を経過する
・そうならず、9月から1月の下値を掘り下げる場合は、(政策のテコ入れを受けて)その年に底値をつけた後、1年継続する上昇の流れへ入っている"
 
 「必ずしもこうなる」!というものではありませんが、知っておくと参考にできるデータが詳細に示されています。

 これによって私の投資戦略が大きく変わることはありませんが、今まで以上に「株価の日内変動」についてどっしり構えて待っていられるようになりそうです。

 投資している銘柄の掲示板を見ていると、値が多少上下するとすぐに
「くそかぶだ、もう保有してられない」
とか
「ついに、基線をこえた!。いよいよだ!」といった書き込みに心を惑わされます。

売上もよく、下がる理由がない銘柄も、一日でかなり上下したりします。

この場合、その銘柄や企業そのものには責任がないことも多々あるものです。

たとえば前日終値が800円の銘柄があったとして、始値で1200円まであげたのに、しばらくすると1000円、もしくは800円まで戻ってしまうことすらあります。

これはその銘柄が必ずしも人気がないということを意味せず、幅400円で大儲けしている投機筋が存在しているのかもしれません。そのような人たちはもう一度同じことを繰り返すと、二度儲けることができるのです。

また、株価の変動で掲示板が大変なことになっていても、案外日経平均の動きと一致していることも少なくありません。

「こんなに下げるなんておかしい。この企業おわってる!」
日経平均が600円も下がっているときには、大抵の企業は影響を受けるものです。

こういった部分を理解する上で、非常に優れた解説書だと思います。

上記の私が記載したようなことをもっと詳しく知りたいと思うような方には、本書は買って損はないと思います。

投資は自己責任でお願い致します。





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