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生い立ちの色(背景色)

高校生時代。
美術の最後の課題は
白いキャンバス一つを渡されて
『エイズについて表現しなさい』
というものでした。

授業内で製作の時間は設けないから
美術室でも自宅でも
自分の好きな場所とタイミングで製作を、と。


数週間後の提出日、
僕は自分の作品を持って美術室へ。

他の生徒たちの
色とりどりの油絵の作品が並ぶ中、
僕の作品を出しました。

その場にいた先生や生徒たちの目を惹きました。

僕の作品は油絵ではありません。

白いキャンバスを木枠から外し、
木枠にアルミホイルを。
その木枠内に
割り箸にアルミホイルを巻いたものを
縦につけて牢獄の檻のように。
アルミホイルはその金属感を出す為のもの。

その牢獄の檻に
赤いワイヤーハンガーで人型を一人
青いワイヤーハンガーで人型を一人
黄色いワイヤーハンガーで小さな人型を一人

赤と青の人型は檻にしがみつくように。
黄色の人型は赤い人型におんぶするように
しがみつかせました。

赤は母を
青は父を
黄は子供を
表しています。

課題は『エイズについて』でしたが、
“エイズによる遺伝の怖さを表現した“
とかなんとか理由は後付けで済ませました。

この作品の前のアイデアでは
自分の右腕を切り落として
キャンバスに付けて作品に
と考えていました。

今にして思えば
やらなくて良かったのかも
と思います。

1ヶ月後に
その最終課題を踏まえた通知表が渡されました。

美術は79点。

80点以上がいわゆる【5】の評価です。
つまり僕は【4】の評価だったのです。

これが僕には大変に氣に入ったのを思い出したんですね。

限りなく【5】に近い【4】という評価に
無限の可能性を未來に見たように思って
とても氣に入ったものでした。


高校生の頃には
既に自分を封印しておりました。
白いキャンバス一つを渡された時、
思わず僕の内から
封印していた創造性が表出したのだと思います。

そして
久しぶりに顔を出した創造性の評価が
限りなく【5】に近い【4】というのが
とても嬉しかったのですね。

本当に未來に希望しかない評価でした。


創造性を思うと
やはり
会社員はしていられません。

それで幸せな人たちもきっといます。
その方たちのお陰樣で
この世界も成り立っています。
そのことに感謝です。
また僕のような
彼らから見ると異質な存在と
仕事をしてくれたことにも
やはり感謝しかありません。


人の色
生い立ちの色
世界の色
土地の色
季節の色
会社の色
僕の色

それぞれの色を生かすには、
と感じ考えています。


祭統 白宇
SHIR㊉W


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