読書感想文 青の数学

人はすぐに答えを求める。明確な答えがなければ存在してはいけないかのように。
科学が発展して、科学信仰がはじまってからきっと、何か論理的に他人をも説得できる確かで他者にも理解可能な説明がなければ他人は認めてくれなくなったし、他人に認められなければ自分を認めることが出来ない時代だ。
だけど私は、答えの見つからない問いをたくさん抱えている。理由がなくてはいけないの?と思うこともある。理由なんてなくても別にいいじゃん。そういう穏やかで静かな思考を肯定してもらえた気がした。
登山者に、何故山を登るのか、ときくと、そこに山があるから。という返事。本書にも出てきたこの返答だが、登山などには全く興味のない私には理解できない。だけど、私は別の問いにだったら同じように答えると思う。「あなたは何故生きてるの?」。
そこに生があったから、目の前に生があったから、というか気づいた時には自分が生きていたから生きているだけで、特に他に理由などない。別にこれでいいじゃん。散々考えて、生きる理由がないから死にたいとか、考えたこともあったけれど、理由なんて元々必要ないんだと誰かが言ったときとても穏やかな気持ちになった。
しっかり理由を持って生きている人は羨ましいし、私にもそういう"何か"があったらなあとは思う。けれど、なにもなくても、自分が生きていくことを肯定できるような心を持っていたいと思う。
とりあえず、今のところは、死にたいともし思っても、死にたい気持ちが、死に対する恐怖を凌駕するまでは穏やかに生をぬるぬると続けていたいと思う。

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