本棚は段ボール Vol.32 『水中都市 デンドロカカリヤ/安部公房』

安部公房生誕100周年ということで、書店という書店で安部公房作品を一挙に並べていて嬉しい。

頭のおかしい人間の、普通の人間から、段々思い込まされていって狂ってしまう、その過程がなんだか共感できるのに確実に頭のおかしい人間だと思わされる感覚が、自分も一歩違う方向に踏み出して気付かなければそのままおかしくなってしまうだろうという気持ちにさせられる。

また、本書は「嫌な気分になる」「イライラする」といった傾向が強く、安部公房の作品は嫌な気になるものが多いけれど、私の気分の問題か、いつもより強く苛立ちや嫌な気分を感じた。

あとは幻想小説特有の、「何を言っているのかわからない」感がとても強い作品があり、その「何を言っているのかわからない」が楽しめる。


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