【読書感想文】先生、どうか皆(みんな)の前でほめないでください~いい子症候群の若者たち~
今回は、「先生、どうか皆(みんな)の前でほめないでください いい子症候群の若者たち」を読んでの感想です。
はじめに「え?」と思ったのは、タイトル、
「皆の前でほめないでください」です。
自分ごとになりますが、
ほめられることがほとんどなかった10代において
他者からの稀な賞賛や、皆の前での先生からの希有な絶賛は
チョコレートパフェより甘くて美味しい言葉でした。
それを「しないでください」ということは、
現代の若者の人間関係の中には
甘くない何かが隠されているんだろうなあと思いました。
現代の若者の精神性を形成しているのは、
現代の大人が作り出した社会であり、
若者はその投影であると考えた時、
我々大人が若者に「いい子」像を求めて
「いい子」でいることを望んだ結果なのではないか
という懸念が本書を読んで湧き上がってきました。
本書は、現代社会において、「いい子」でいることが求められ、抑圧された若者たちの姿を新旧データ比較と著者の洞察力をもとに多角的に分析し、「いい子」の本質に迫っていく展開になっています。
また、大人にとって厳しい現実も突きつけてきます。社会の期待に応えるために自分を抑えることが必要なのか、自分を大切にして生きることが大切なのか、若者の姿を通して自分の行動や価値観を考えさせられる内容でした。
しかし、「先生が皆の前でほめないでください」という若者が、令和の象徴的な若者像になっていく流れは好ましくないと考えます。
本書を読んで、濃縮された「いい子症候群」の若者像が筆者の目線を通じて痛いほどリアルに伝わってくるのですが、筆者に若者像のラベリングをする意図は無いと感じました。筆者が訴えたいことは、大人を含めた「自分自身が考えを変えていくこと」にあるのではないかと感じました。
言い方が良くないかもしれませんが、
若者たちの思考回路が、守りに入った自信のない大人たちのモノマネに見えました。現代社会において、大人達がいかに周りからの評価に縛られ、自己表現が抑えられているかを、若者の行動が象徴しているように感じました。
若者の見本になれるような大人になれているか?
日々、意識をしながら生活をしていかなければと
思わされた一冊でした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
素敵な今日を。