その他競技編 #5 あの大企業が自転車競技についに参画!?
【始めに】
読者のみなさんこんにちは!
『スポンサー営業マンになりたい素人』です。
今回ご紹介する記事はNTTが自転車の競技チームを発足させると、2019年11月12日に発表した件について、その中身を見ていきたいと思います!
※今回は、別法人同士の資本連携や共同アクティベーションといった厳密なスポンサーシップ事例ではありませんが、NTTが自転車競技に投資する、といった面ではスポンサーシップとも言えると考えたため、取り上げさせて頂ました。あと、筆者自身、自転車がとても好きなためです。ご了承くださいませ(笑)
【NTTとは】
みなさんご存じのITデータ活用企業のNTTです。
本件はそんなNTTの中でも海外事業の一環として2010年に買収した南アフリカの大手ITベンダー会社ディメンションデータが大きな役割を担っています。
現在はNTTグループの海外事業の根幹を担っており、当事業の売り上げの半分以上を創っているそうです。
【なぜ、自転車競技に参画!?】
実は、今回の発表以前から、NTTは自転車競技へ参画していました!
2015年から世界最大のロードレース〈ツール・ド・フランス〉の公式テクノロジーパートナーを務めており、レース結果の計測や、選手のリアルタイム走行データの提供など情報技術面での協働を行なっています。
「ツール・ド・フランスにおけるファンの体験を革新する」ことを謳うNTTは、ICT(情報通信技術)の活用に積極的で、事実、こうしたデータを生かした投稿によってツール公式のSNSアカウントや公式サイトのアクセス数は軒並み数を伸ばしていました。
また、参加選手の自転車にセンサーを取り付けることで、勝負どころでの有力選手の出力量(ワット数)や、レース中の選手の位置関係を明示するなど、数々のデータが計測され活用される。こういったデータによって自転車ロードレースにおけるコンテンツの幅が広がったのは確かです。
とはいえ、データの大半は観戦に適したものではなく、表に出ることはありません。
そこに今回、NTTがチームを持つ理由のひとつがあります。放送面やファンにとって面白みのないデータも、レースを行う選手やコーチにとっては宝の山。
競技者やチーム首脳陣にとって、単なる敗戦から学ぶものは少なくないが、それが膨大なデータとして裏付けられればよりその意義は大きくなる。同時に、一見サプライズな勝利も論理立てて説明できるものとなるかもしれません。
【NTTが自転車競技を持つ狙いとは!?】
狙いは大きく2点です。①他分野への転換の可能性が大きい②コネクティビティがもたらす利点の活用 です。
①他分野での転換の可能性が大きい
実は現状、世界のサイクリングシーンを取り巻く状況は明るいとは言えません。継続的なスポンサーを得るのが難しく、チームやレースが消滅するニュースがシーズン終わりには恒例となっていることもあります。
そんな中、NTTがサイクリングチーム運営に名乗りを挙げたのは、そこに一定のメリットを見出しているからです。
自転車競技はとりわけ他競技よりも、上述したようにデータスポーツとしての側面が大きいとされています。スピード、位置関係、力の出力量…
すでにツール・ド・フランスで証明している高い情報技術力を、チームのパフォーマンス向上という結果に直結することができれば、他分野のスポーツにおいても同様の引き合いが期待できます。
②コネクティビティがもたらす利点の活用
「コネクティビティ」は日本語訳の通り「繋がり」です。
アドバンスドテクノロジーグループのシニアバイスプレジデントを務めるピーター・グレイ氏によると、世界各地に散らばった選手やスタッフのコンディションを一元的に把握・最適化するために、NTTのプラットフォームが役立てられるそうです。
そこでは常に選手や関係者が「つながった」状態にあり、調子が良いのは誰か、選手はどんな健康状態にあるかがモニタリング可能になります。
スタジアムスポーツのチームと違い、ロードレースチームは選手が個々人の裁量で住む場所を選ぶのが常だそうです。リモート環境にいながら過酷なスポーツを戦う選手たちの健康管理をチーム単位で行う「コネクティビティ」が確立すれば、スポーツの枠を超えて一般的な健康社会の実現に寄与する可能性すらあります。