海外サッカー編#3 世界的人気クラブとの戦略的パートナー
【はじめに】
読者のみなさんこんにちは!
『スポンサー営業マンになりたい素人』です。
今回紹介するスポンサー契約は2014年6月に発表された契約です。その中身について見ていきたいと思います。
2014年6月、ボルシア・ドルトムントは、エボニック・インダストリーズAGと2006年から続いている胸スポンサー契約を2025年6月まで延長し、さらに提携関係の強化を発表しました。
【エボニック・インダストリーズAGとは】
ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州に本社を置く株式上場のドイツ特殊化学品会社です。ドイツで2番目に大きい化学会社であり、世界で最大の特殊化学会社の1つです。約37,000人の従業員を擁し、100か国以上で活動を行っています。2019年度は、131億ユーロの売上、21.5億ユーロの営業利益(調整後EBITDA)を計上しました。売上高の75%をドイツ国外で稼ぐグローバル企業です。
日本でもエボニック・ジャパンが1969年に設立されており、2019年には創立50周年を迎えました。
【ボルシア・ドルトムントとは?】
ボルシア・ドルトムントは、ドイツブンデスリーガに所属しています。
ブンデスリーガ優勝8回、1996-1997シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグを制覇しています。
スタジアムはドイツ最大で、2009-10シーズンのドルトムントの1試合当たりの平均観客動員数(76780人)、スタジアム観客入場率(約94%)は世界一です。人気・実力共に世界有数のサッカークラブの1つです。
日本代表の香川真司選手が所属していたことでも有名です。
【契約の内容】
・ブランドパートナーシップを 2025 年まで拡張・延長
・メインスポンサーとしてボルシア・ドルトムント KGaA の株式 9%取得
・エボニックはボルシア・ドルトムントの新株式発行による 26,744,448.07 ユーロの増資を引き受けます
・エボニックのBVBスポンサー契約の延長は今回で連続4回目
・スポンサー料は'13-'14シーズンまで平均1300万ユーロだった年間スポンサー料は現在、2000万ユーロまで膨らんでいます
【お互いのメリット】
エボニック・インダストリーズAG
・株式資本を取得し、新株式発行に伴う増資の引き受け
・ドルトムントの運営会社の株式を取得しているため、、ドルトムントとは非常に密接な関係を築くことができます
・グローバル企業であるエボニックにとって、世界で最高の人気度を誇るドルトムントの胸スポンサーになることは、露出機会の増加と大きな広告効果が見込めます
・ドルトムントは、世界のそれぞれの言語で、画期的な広告をしているため世界中の顧客にアピールできるチャンス
(ドルトムントは、バーチャル広告と呼ばれる最新技術をドイツで採り入れている唯一のクラブ。ヨーロッパやアメリカ、アジアの試合中継時にそれぞれ違う広告を表示できます。)
※ドルトムント公式HPより抜粋
ボルシア・ドルトムント
・莫大なスポンサー費の獲得
・長期間にわたり国内外でのトップレベルでの競争に打ち勝つための安
定した基盤を得ることができます
(14年前に新規株式公開(IPO)後に資金をあっという間に使い果たしてしまったという過ちを経験)
・新たなスポンサー契約とエボニックによる出資で、国内外からトッププレーヤーを確保することができます
【まとめ】
戦略的パートナーとしての契約延長は、長年にわたり両者にとってプラスになっていることが背景があります
スポンサーでありながら、株式を保有するパートナーは世界を見ても稀なケースです。2006年から続いている関係は、2025年までの契約により約20年間という長期に渡る関係となります。
『エボニック』に社名変更した2007年のドイツにおける一般認知度は47%でした。今日ではその認知度は64%と飛躍し、ドルトムントとの提携が大きく貢献しています。また、エボニックにとって特に重要なターゲットグループとなる財務やビジネス分野における意思決定者間の認知度は 95%であり、エボニックと BVB を結び付けて考える人の割合は 74%にのぼります。
このように長期契約は、エボニックが売上高の75%をドイツ国外で稼ぐグローバル企業であること、ドルトムントは世界有数の人気クラブであるだからこそ実現した契約だと考えました。
今後も戦略的パートナーとしてどう協同していくのかに注目です。