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がんカフェに出てみたら子どもの自分が出て来て質問したこと。

誘われて,オンラインのがんカフェに出てみた。
5人のブレイクアウトルームに入れてもらって,自己紹介した。
私のほかに,2人の人が,がん治療中の方だった。他の2人のひとは,お世話役だったみたい。

私が,まだ検査中で,でもほぼ癌だと言われているという段階だと話すと,

「色々,きいてみたいこともあるでしょう。ぜひなんでも質問してみてくださいね」と言われた。

病院選び,仕事のこと,治療のこと,お金のこと?
沢山気になることはあるけど,いまここでなにをきくかな?
まあ,とりあえず出て来ることを話してみよう。
そう思って話し始めてみた。

あのですね,私,自分の身体の中に癌があるときいて,
 4cmもあるって,何年もかかってここまで育ったって,
なんか自分の身体に裏切られたような…びっくりしたというか。
 何て言うんですかね,たとえば,安心して住んでた家の中にゴキブリがいた,みたいなおどろきというか。
 でもただ悪いもの,異物ということでもなくて。
ここ10年ほど,家族の中でいろいろ,本当に大変なことがあったんですよね。
 で,ストレスはかかるけど,どこか自分は平気,強いと思っていたんです。自分は無理しても大丈夫だと,思っていたんですね。
 けど,知らない間に身体の中で癌が育っていたと分かって,なんというか。迷惑で,面倒で困るけど,一方で,「ああ,そうかもしれないな」「こういうものが身体の中に,育っていった10年間だったかもしれないな」と,どこか納得するような気持ちもあるんです。
 そうすると,癌細胞も自分の一部というか,一緒に生きてきたというような,自分の身体の歴史だよなと受け止められるようなところもある。つまりあの,身体の中のがん細胞について,自分はそんな風に思ったんですね。
 で,ききたいことなんですけど…みなさんは,自分のなかに癌があったとわかったとき,それについてどんなことを思いましたか?

犯罪のことを研究していて,ときどき思う。遺伝,化学物質,神経発達,成育環境,さまざまな要因がこんがらがって,犯罪というものにつながっていくこと。その要因を整理して,メカニズムを分かりやすく示すのが研究の役割である。

だけど,どんなメカニズムで犯罪が起きたとしても,そんなことよりも。

なぜこんなことが起きるんだろう?
なぜ”悪いもの”もこの世に存在するのだろう?

根本的な,素朴なことを思う。
そういう自分がいる。

自分の中の子どもの自分は,こわがりだ。
だけどそれ以上に,好奇心が旺盛であり,哲学的で素朴な疑問について,いつも誰かと話して考えたがっているという特徴を持っている。

今日は,その子(自分の中の,幼めの自分)が,したい質問をさせてもらった。それがよかったと思う。


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