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【白さんぽvol.14】白の名句鑑賞1

鑑賞する句

星守る吾子の背や緑立つ 袋小路 綴乃


俺企画『白さんぽ』


白さんぽ』とは毎回、自分が気になったところにぶらりお訪ねする俺企画である。
昔、スイングマンちゃんがヘッダーも作ってくれた企画で、去年の9月まで13回くらいやっているみたいだ。

今回はnoterさんを掘り下げるのではなく、noterさんの詠む名句を鑑賞する企画として、ちょいと復活させてみた。

そんな気にさせてくれた、今回全力で鑑賞する句はこちら。

星守る吾子の背や緑立つ 袋小路 綴乃

【季語】
若緑(わかみどり) 晩春
【子季語】
緑立つ、若松、初緑、松の芯、松の緑
【関連季語】
松の花
【解説】
松の新芽のことである。晩春、枝先に十センチから三十センチの新芽を直立させる。まっすぐ空へ伸びるさまをとらえて緑立つという。

きごさいより

きょんちゃんのこの記事では、この句の自解が載っていて、面白いのでぜひ行ってみてほしい。


さて、俳句は発表した時点で読み手の思惑を離れていくものであり、それはどんな表現活動も同じである。
よって、読者である俺の勝手な鑑賞をしていこうと何ら問題ない。
ここからは、俺の解釈によるこの句の鑑賞だ。

名句鑑賞

星守る吾子の背や緑立つ

この句は、季語「緑立つ」と上五中七の「星守る吾子の背や」との取り合わせと読めば良いだろうか。

まずは句を分解してみる。

上五 星守る

以前『星守る犬』という村上たかしさんの漫画が話題になったことがある。原田マハさんによって小説にもなったし、西田敏行さんの主演で映画にもなったので、知っている人も多いかもしれない。

この本では、「星守る」とは、
星を見守ること、手の届かないものを求める
というような意味で使われていた(と思う。)
また、「星を見る」「星を見守る」ではなく「星守る」という措辞にすることで、当然ながら「星をその手で守っている」という意味合いも生まれてくる。
星がこの地球を指すのか、それとも天の星々を指すのか。いずれにせよ壮大な物語を感じることのできる上五である。

中七 吾子の背や

背は、そびらと読む。俺は、この読み方を知らなかったのだが、背中を指す古語らしい。
吾子とは我が子のことである。
「や」は切れ字と言って、詠嘆の思いを表すので、この中七「我が子の背中であることだなあ!」という意味になる。
とすると「星守る吾子の背や」という措辞からは、星を見上げている吾子の様子を、後ろから見ている人物の存在が浮かび上がる。
吾子を見守る人物であるから、きっとその後ろ姿に我が子の成長のようなものを感じ、感銘を受けているのであろうと想像できる。

下五 緑立つ

その上五中七を受け止めるのが季語「緑立つ」だ。きごさいの解説にもあるように、緑立つとは、松の新芽が真っ直ぐに空に向かってぐんと成長する様子を指す季語だ。
なんとも上五中七と響き合う季語ではないか。数ある季語の中からこの季語を選ぶセンスはもう脱帽である。

星を守る我が子を見守る人物の気持ちがまさにこの「緑立つ」という季語によって、何倍にも増幅され読み手に迫ってくる。

そうして改めて句全体を眺めてみると、この句はまさに、未来を担う次の世代の成長を喜び、未来への希望を託している句なのである。

終わりに


きょんちゃんの記事を読むと、実はこの句はドラゴンボールのピッコロと悟飯からインスピレーションを得て詠んだ句であるらしい。
異星人から地球を守るために、悟飯を鍛えたピッコロ。この句はそのピッコロ目線で詠まれたものだ。

しかし、それがこのように、エッセンスを俳句の形で取り出すことによって、普遍的で雄大な句へと昇華したのである。

俳句を始めてまだ間もないにもかかわらず、こんなに素晴らしい句を詠めるとは、本当に素晴らしい。

この句のように、俺も、成長著しいきょんちゃんのその背中を眩しく見たのであった。

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