【ロッキンひたちなか】モー娘。とME:Iを観に行ったら、サンボマスターに音楽で殴られた
私は十数年、ハロプロを追っかけている。
といっても彼女らのパフォーマンスを生で観たのは片手で数えられる程度で、ほとんどはウェブに落ちている情報や動画をチェックし続け、リリースがあれば公式MVで聴いてみるというくらいだ。
彼女たちは基本的に生歌で踊りまくる。そのブレなさに驚かされる。あとは表現力。つんく♂をはじめとする作家陣が手掛けた楽曲を読み解き、パフォーマンスに落とし込む能力が鍛えられている。ただの歌上手でなく、ダンスマシーンでなく、表現者としてのプロ意識にこだわる姿勢に惹かれてしまうのだ。追っかけるようになったきっかけはこちらで紹介しています。
そんなハロプロ出身の笠原桃奈という人が、韓国発の大型オーディション番組に参加し、視聴者投票で1位を掴み取った。2024年にME:Iという11人グループとしてデビューした。10代を中心とした若い方々からめちゃくちゃ注目されているらしい。アンジュルムに1人加入し、アンドロイドのような振りをつけられた楽曲でデビューした頃を知っているハロヲタにとっては鼻が高いというか、親戚の子どもの成長を見届けてしみじみ感動するというか、そんな想いを抱えてしまう。
今年のロッキンに、モーニング娘。'24とME:Iが出るらしい。しかも同じ日に。これは行くっきゃない。と、9月22日に行われたロック・イン・ジャパン フェスティバル in ひたちなか に行ってきた。
モーニング娘。'24
わたしが彼女たちのパフォーマンスを生で見るのは、2012年頃に行われた「ウルトラスマート」というライブ以来。まだ道重さゆみ や田中れいな が在籍していた頃のものだ。当時のメンバーで在籍しているのは2名のみ。現在は15人という大所帯だが、全員歌えて踊れる、というところに改めて感動した。そしてなんといっても表現力である。激しいEDMナンバーからトンチキソングまで、極上のエンターテインメントとして昇華させるその技量がすごかった。おじさんは感動した。
ME:I
デビュー間もないにも関わらず堂に入ったパフォーマンス。一矢乱れぬダンスブレイクは圧巻。再現性のあるステージを、正確にこなすのは凄い。しかし、ライブ感を求めてしまう私にとっては正直物足りない。大きなスクリーンにメンバーがアップで映し出される度にキャーキャーと黄色い声が上がる。いや、たしかにかわいい。かわいいが、それなら動画で見ても同じなんじゃないかと、おじさんは思ってしまう。
しかし、こういう不自由なむず痒さを感じているメンバーもいるはず。そう感じたのは、笠原桃奈、高見文寧の歌だった。事前録音した音源を突き抜けて、生の歌声が届いた。すごい。縛りがきつくていろいろ大変だろうけど、がんばってほしい。
目当てはこの2組だったが、1番心を揺さぶられたのはサンボマスターのステージだった。
サンボマスターの楽曲は好きだけど、熱心には聴いてこなかった。ライブも今回が初めて。せっかくだから聴いてみよう、という軽い気持ちで演奏が始まるのを待っていたんだけど、始まった瞬間からすぐに心を奪われた。
大型フェス、しかもアイドルが2組出演する日の中盤に出番をあてがわれる。その主催者側の意図を汲み取りながらも、自分たちの音楽を全力で、死ぬ気でやる。そのバランス感覚と熱量、誠実さに胸を撃ち抜かれた。
「10年前のロッキンはこんなもんじゃなかったぞ」「伝説を作りにきたぞ」と客を煽り、「震災、コロナ、戦争と次々に不安なことが起きる。いろんな言葉で『未来がない』と言われただろうけど、それは全部嘘だ」「今日はその嘘を暴きにきたんだ。俺達の魔法みたいな音楽で、暴いてやるんだ」などのパンチラインを連発する山口さん。
MCと演奏のタイミングがバチッと合うのも凄かった。おじさんは終始、泣いていました。「泣いてるんじゃないよ、笑ってくれよ」との山口さんからの優しい言葉に、また泣いてしまったり。エンドレス滂沱の涙。全員優勝。
大学時代、ギタリストの友達が言っていた言葉で、ずっと胸に刺さっている言葉がある。
「音楽には、人を夢中にさせる強力な力がある。だから、いい音楽をしなきゃいけないんだ」
私にとっての「いい音楽」は、魂が込められているもの。商業主義ではなく、人々の心を潤すもの。そういう音楽を聴きたいと、改めて思ったロッキンでした。