テクニカルライターというしごと
テクニカルコミュニケーション技術検定試験とは
2024年2月に資格試験を受けることにしたので、これを機に自分の仕事のことを書かせてほしい。
私が受験する予定の試験は、(一財)テクニカルコミュニケーター協会主催の「テクニカルコミュニケーション技術検定試験」の「2級 使用情報制作ディレクション試験」だ。
これだけ聞くとなんのこっちゃよくわからない資格だろう。
まずは、前提となる資格である「3級 テクニカルライティング試験」から説明しよう。
テクニカルライティングとは、技術的な内容を目的や読み手に合わせて分かりやすく伝える手法や技術のことを指す。前述の試験は、これらの技術が身についているかを全国規模の統一的な基準で検定し、技術の向上や人材の育成に活用することを目的とする試験なのだ。
そして、「2級 使用情報制作ディレクション試験」とは、「3級 テクニカルライティング試験」の知識や技術をベースに、マニュアルの企画・設計やツールやデータの基盤整備、運用管理等の業務を支障なく遂行できるスキルを認定するための試験である。
これらの技術を持ち、ソフトウェア、家電製品、サービス等の取扱説明書やマニュアルを作成しているのが、テクニカルライター、テクニカルコミュニケーターと呼ばれる職業だ。
私も10ン年ほどこの仕事を続けており、近頃はミドルウェアのマニュアルを担当することが多く(一時期、販売促進ドキュメントを作成していたことも)、仕様書や技術者が作成したドキュメントを基にマニュアルを作成している。仕様や専門用語の難しさに四苦八苦することもしばしばだが、やりがいを感じている。
正直に話してしまうと、もともとコピーライターに憧れ、就職活動時にマスコミ業界を受けたものの、ことごとくWebエントリーや書類審査で惨敗していた。そんな私が「とにかく"ライター"になりたい!」という不純な動機である会社の入社試験を受け、内定をもらったことがご縁でテクニカルライターとなったという経緯である。
入社した年に「3級 テクニカルライティング試験」に合格した後は、しばらく資格試験からは離れてしまったが一発合格を目指して勉強しようと思う。
分かりやすく伝えるとは
そもそも分かりやすく伝えるとは何だろうか。難しい言葉を使わないことはもちろんだが、誤解や過不足なく情報を伝えることが大切である。
ごく一例だが、分かりやすい文章の例を挙げてみよう。
①主語と述語がきちんとつながっている文章
②一つの解釈しかできない文章
③見出し、箇条書き、表が適切に使われている文章
①主語と述語がきちんとつながっている文章
◎主語と述語がつながっていない文の例
OSの種類には、Windows、Mac OS、Unix、LinuxなどのPCを制御するシステムです。
◎改善例
OSは、PCを制御するシステムです。 OSには、Windows、Mac OS、Unix、Linuxなどの種類があります。
★一文が長すぎる文章は、つながらなくなりがち(ねじれが生じる)。短く文を区切って一文一意にすることでわかりやすくなる。
②一つの解釈しかできない文章
◎複数の意味が解釈できてしまう文の例
私は黙って仕事をしている男性を見つめていた。
上記の文章は次の2つの解釈ができてしまう。
解釈1:黙っている私が「仕事をしている男性」を見つめていた。
解釈2:私が「黙って仕事をしている男性」を見つめていた。
◎改善例 その1
それぞれの解釈を正しく伝えるために、適切な位置に句点を入れることで改善してみよう。
解釈1:私は黙って、仕事をしている男性を見つめていた。
解釈2:私は、黙って仕事をしている男性を見つめていた。
◎改善例 その2
句読点を入れるほか、2文に分割したり、語順を変更したりすることでも改善できる。例えば、解釈2を正しく伝える改善をしてみよう。
解釈2:私は男性を見つめていた。彼は黙って仕事をしていた。
③見出し、箇条書き、表が適切に使われている文章
よくあるお知らせ文を分かりやすく改善してみよう。
◎ベタ打ち文
12/10(日)は遠足で山下公園に行きます。現地集合、現地解散です。持ち物はお弁当、水筒、レジャーシート、雨具、赤白帽子です。
◎改善例(見出しと箇条書きを使用)
次のとおり遠足に行きます。
日にち
12/10(日)
場所
山下公園(現地集合、現地解散)
持ち物
・お弁当
・水筒
・レジャーシート
・雨具
・赤白帽子
それぞれの項目の「改善例」はいかがだっただろうか。
この記事を読んで、少しでもテクニカルライティングというものに興味を持っていただけたら幸いだ。