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会社を辞めた④


最近午前6時半起床がデフォルトになってきている。いいことだ。
前職は不規則にもほどがある業務だったので、午前5時に起きることもあれば正午まで寝てる時もあった。今考えてみれば体調を崩すに決まっている。

9~11日の東京旅から帰るや、すぐに夫を車で拾って翌12日には草津温泉に赴いた。夫は温泉が好きで、一度有名な温泉地に足を運びたいと以前から話していた。夫の誕生日が近く、私からのプレゼントという意味合いもある。

当初は12~14日の2泊3日を計画していたが、いかんせん我々夫婦も若くない。最後の1日は思いっきり休みたい、その分良い旅館に泊まろうと思い、1泊2日に旅程をこれでもかと詰め込んだ。

12日は午前5時に起床。荷物を携えて軽自動車で高速道路を5時間半ほどひた走る。BGMは車の中で何を流していたっけ。そう、11日にドラえもんの声優として有名な大山のぶ代さんの死去が公表されたばかりで、夫がタブレットの中に1990年代のドラえもんの映画をいくつかダウンロードして、その音声を聞きながら運転していたのだった。

大山ボイスのドラえもんの映画はまだ小学生にもなっていない頃にレンタルビデオ屋に行く父親についていくと、弟と二人で各1本ずつ借りて良いよと言われて好んで借りていた気がする。そのため、大山時代のドラえもんの映画はドラえもんズも含めてほぼすべて制覇しているといって過言でない。私は「のび太と銀河超特急」と「のび太のパラレル西遊記」が好きだ。



昼過ぎに草津に着くと、三連休の初日とあり混み合っていて、湯畑近くの有料駐車場に車を止めることができず、高台にある宿泊予定の旅館駐車場に止めることにした。湯畑までは徒歩15分ほど。ただ坂道を上り下りするのはそこそこきつく、一度下りきって財布を忘れたことに気づき1回無駄に往復したのは地味にしんどかった。

湯畑回りは食べ歩きに適したスポットが多くあり、温泉街を巡っているだけでも楽しい。無料の日帰り入浴施設が数カ所あるようだったが、今回巡ることはできなかった。漫画がたくさん置いてある施設もあるようだった。次の来訪時の楽しみに取っておこう。

温泉街巡りもそこそこに、旅館に戻りチェックインを済ます。今回宿泊したのは全室露天風呂付き客室が売りの「湯宿 季の庭」だ。


旅程を1泊2日にしたのも、宿泊料金を2人で10万以下に抑えながらそれなりのサービスを受けられそうな宿でまだ空室があるところがここくらいしか見当たらず(直前の予約だったため)、かつ12日しか空いていなかったということが地味に大きい。湯畑付近の宿で素泊まりして温泉街で飲み歩きすることも検討したが、夕食難民になる可能性を考慮しゆっくり滞在することを選んだ。

23種の風呂があるという触れ込みの通り、貸し切り風呂3棟に加えて泉質や温度の違う複数の湯船を擁した大浴場が二つあり、1日おきに男女の湯を交換するので、連泊すればさらに楽しめたことだろう。夕食も多すぎず少なすぎずちょうど良い量だった。温泉街の食べ歩きでとった遅い昼食から3時間も空いておらず、この後夜の湯畑に繰り出す予定もあったのでうれしい誤算。共立リゾートの宿にはこれまでも何件か泊まっているが、大手のリゾートホテルチェーンとあり全体的に満足感の高いサービスを受けられるので重宝している。

夜の湯畑は神秘的な美しさ。昼には足を運べなかった地蔵地区「裏草津」も歩いた。近年新たに開発されたらしい。夜はことのほか日本人が多く、学生らしき若者も多く温泉街を歩いていた。私が考えていたように、素泊まりで卒業旅行にでも来ていたのだろうか。



翌13日も朝から動いた。朝食を午前7時過ぎから食べ始め、8時過ぎには宿を後にした。この日は予定がびっしりと詰まっていた。

まず、せっかく群馬に来たのだから草津温泉だけで済ませる理由はあるまい。なんといっても世界遺産のある土地だ。富岡製糸場を訪れるため、車を1時間半走らせた。ただ、到着してはみたものの世界遺産の良さがいまいちピンと来なかった。建築に興味のある人は楽しいのだろうか。まだこの建築を楽しめる域に自分が達していないと思った。



その後、我々は茨城県へ移動。私も夫も茨城県の大学出身なのだが、ここ数年ずっと食べたいと言い続けていたものがある。茨城県のご当地グルメ・スタミナラーメンだ。レバーやカボチャなどが入った熱々の餡が、冷やし麺または温かいつゆ麺の上にのっている。これがまたおいしくておいしくて、スタミナラーメンだけを食べに茨城に行こうと話していたこともある。ついにそれが実を結ぶ時が来た。

思い出の味・スタミナラーメン総本家「松五郎」。水戸市にあり、昔あった場所からは移転して新しくなったようだった。店内撮影は相変わらず禁止。店内のベンチに長打の列が並んでいたが、30分もせずに食事にありつけたのは暁光だった。夫は冷やしを、私は普通のをどちらも大盛り(1・5玉)食べた。次の日の昼まで余韻に浸るほどのおいしさだった。

その後、せっかくなので国営のひたち海浜公園へ赴いた。みはらしの良い丘一面に咲いた春のネモフィラや、秋のコキアが紅葉に色づく景色で知られる。連休中日とありカップルや家族連れ、また外国人観光客でごったがえしていて、閉園間際でもまだ来場する人がいた。コキアの紅葉はまだ5割ほど。次は真っ赤に染まる景色が見たいと思った。



東京~草津の旅の間、本も一冊読破した。歴史小説が好きな義父に薦められた「実は、拙者は。」

江戸の下町に住む住民たちにはそろいもそろって裏の顔があるという勧善懲悪エンターテイメント。肩肘張らずに読めて面白かった。



会社を辞めてから半月が過ぎた。
まだ、私の人生の夏休みは続いている。

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