夜野なみだ(詩と日常)
2020年、2021年、2022年、詩作品
日々の日記/2020年〜2021年
短歌作品まとめ
有料詩集
夜野なみだのコラム集です
絶望してはじめて悲しみに追いついた。わたしたちは軽率に、不用意に、自分を追い詰めすぎている。もっと楽に生きれたらどれだけいいかを、楽に生きている人が教えてくれないことは、叫びに一番近い色で絵を描いたって、絵はさっぱり声を出さないことを教えてくれない絵描きによく似ている。ただ信じられるものが欲しいなら海の先端を瓶に詰めろ、それを 波 と名付けて大事に育てたら、海の破片の広がりを夢と勘違いして、きみは静かで揺れる波を抱きしめて眠ることができる。人体の80%は水でできているから、体
夏なのに冬みたいな景色 やっぱり雪は冬のものなんだなと 真夏に降る雪を見るとよく思う 子供が跳んだり跳ねたり 転んで泣いて 雪を食べたら泣きやんで 今日のは少し酸っぱいね と笑う 少し先で 世間話をする母親は うちの子は未だに整列ができなくて でもよく走る子なんです 物凄い速さで 走る 子なんです と笑う 話を聞いていたママ友は うちの子も家に帰れば ポー ポー ポー って鳴いてばかり でも最近ようやく四角形になってきたのよ とすべり台を流れる どう見ても三角形の我が
何だか、いろんなことが馬鹿らしくなってきて、、日の目を見ない作品があってはならないと思いました。どういうことかと言うと、これまで文芸誌に投稿して掲載された作品は一応SNSでは投稿しなかったのですが、投稿します。本になる予定もないのに、せっかくいい詩を書けたのに、もったいないでしょ
星がいつもよりきれいに見れる日だった、数え切れないよ、友達の一人いないぼくも、生き方一つで何かが変わるのだろうか、愛されなくても良いよ、なんてぼくは言えないし、臆病なぼくはむしろ愛されたいと願ってしまう、いつかきみもこんな毎日なら消えてしまいたいと思うのだろうけれど、それでも必死なって生きて、みんなの前で笑うために陰で一人泣いたりするのかな、それでもきみはいつか小さな哲学者を産んで、その子にお母さんと呼ばれたりして、両手から零れるほどの愛を噛みしめるのだろう。 星の正体は死
花は散ってもきれいだろうか、歳をとったきみの隣でぼくは笑っているだろうか、きみと会えば会うほど、一緒にいればいるほど、きみの知らないことばかりが増えた。詩を書いた机、個展を開いたギャラリーも今はもう無いんだ、気づけばさよならばかりの人生で、みんないつの間にかいなくなる、かろうじて人間の形を保って歩いてきた人生もいつかは終わって逝くのかな、終わった先の暗闇も未来に繋がっていて、またきみに会えるだろうか。 幸せに意味や理由なんて要らないだろう、誰も辿り着けない、真似できない人生
◯月某日、久しぶりに出演する番組のリハーサル、可愛く笑って間違えずに踊れるか不安、本番になって、司会者の奴が紹介したアイドル名が間違っていることも指摘できずに愛想笑い、みんなー愛してるよと息を吸うように嘘を吐く、曲を歌い終わったらまた愛想笑いをするだけだ、愛してるの意味も恋をする意味も、アイドルになって忘れてしまったよ。 夜になって机で開く日記、ペンを走らせてあの俳優が連絡先を聞いてきて気持ち悪かったと書き記す、きっとわたしの抱えてる問題はアルキメデスでもニュートンでもガウス
こんなさみしい夜は月が街を照らさないといけない、ひとりぼっちで泣いているきみにもこの光が届いて、パジャマのまま缶ビール片手に夜に出かけよう、夏の汗に濡らされた顔は、星の匂いが染み込んだハンカチで拭いてしまおう、きみがパジャマにしている学校のジャージほどこの夜に似合う服装はない、纏ったのは学校のジャージのまま、体型も変わらないままで、歳だけを重ねてしまったね、エンドレスサマー、毎日は夏休みの続きでしかなくて、終わらない夏を生きている、形のない季節が大きな力らでぼくらに降り注いで
わたしの感情があなたに届くまで、わたしは目を閉じてあなたの言葉を静かに待っている、あなたの代わりに抱きしめた夜がわたしの心で泣いている、どうして夜は朝みたいに明るくなれないのと泣いている、わたしは泣いちゃう夜をあなたの姿に投影して泣かなくても夜は夜で大丈夫だよと言葉を伝える。あなたの手を強く握りたい、何があっても大丈夫だよと伝えたい、朝が来たら何もかも忘れて寝ようと言いたい、わたしたちは今を全力で生きている。夜中の3時を回ったころ、あなたの影がわたしの隣で踊る、あなたの思い出
わたしはまだ、きみと出会っていない頃からずっと、きみの名前を呼んでいました、初めて同じ約束をして歩いた石畳、街路灯、手を繋ぎたくて途方に迷った手、終電までベンチでくだらない話をいつまでもしていたね、夜を追いかけて、朝を置き去りにして、ひらく言葉が揺れながら、観覧車みたいに動くわたしたちの頭の中は両手から溢れそうだ。 生きる死ぬ生きる、順番にちぎった花びらは生きるで終わる花、冷たいカキ氷と夜空に消える火の花、わたしときみの汗が、花の影に消えていく。
もう7月だっていうのに、夕立のように降る雪、夏なのに雪が溶けてなくならないのが不思議でしょうがなかった、夕立が洗っていった西瓜をもいで夏、雪の結晶が差し出した両手に当たっては消える、地面に置いた西瓜も汗をかいている、この景色を遠くから見たらきっと、夏を待ち焦がれた一輪の紫陽花が満開に咲いているように見えるだろう、幻想的、その一言で笑うきみと、そうだね、その一言で頷くぼくの言葉を小さな風が運ぶ、まるで、ぼくたちは冷蔵庫で冷えて待つサイダーのようだね、冷凍庫で待つ氷菓も忘れないで
きみが今生きて呼吸をしていること、今泣いているきみも明日の今頃には泣き止んでいること、その全てが尊いと素直に言える人間でありたかった。バス停に夏風一つ、ぼくは瞬きも忘れて一人、時間だけがゆっくりと過ぎていった。ぼくもいつかは死んでしまうのだろうか、たまにぼくは永遠に死ねないんじゃないかと思ったりもする、いつか冬に死んでしまったあなたのように、ぼくも真っ白な雪のように消えてなくなりたい。 いつかきみのこともすっかり忘れて、ぼくはまた新しい恋をするだろうか、その時はきっと、花び
なんか人間関係でごちゃごちゃ言ってる人を見かけるけど、答えは簡単で、先に相手を信頼すること、それだけ。そしたら相手からも信頼される、信頼される人間になっていく。答えは簡単だ。
わたしの涙は花びらだから、わたしが泣いているのを見た誰もが、わたしを美しいと言う、わたしを見た誰もがもっと泣いてほしいと、わたしに訴えかける、わたしがどんなに泣いても、わたしはわたしだから、もう誰にも涙は見せない。わたしたちはいつか死んでしまうのかな、きみがひとりになったとき、寂しくならないように、わたしはここに言葉を残すよ、恐れはしない、心配はない、きみが生きているように、わたしも生きている。花びらのひとつひとつが、わたしの皮膚から抜けていく、もう春ですね、きみが見ている桜
街に忍びこんだ僕は仕事終わり、電車に揺られて最寄駅に向かう、いかにも普通の顔をした人たちの籠のなか、僕はどんな顔をして揺られているだろうか、僕はただ人生に疲れているだけの会社員だから、うまくこの人混みにまぎれているだろうか、最寄駅、改札、スーパーまでの道、片手にネギが飛び出した袋をぶら下げるアパートまでの帰り道、花壇の花が生きて美しく咲いている、僕はただ苦しいと言って、泣きたかっただけかもしれない、それを平気ですの言葉で蓋をしていたのかもしれない、それはあなたも同じだったのか
消火しなければなりません、花に火をつけて燃やしました、花は燃え上がり、星よりも月よりも宇宙よりも、この地球で今どこよりもこの場所が一番輝いていたし、真っ赤なバラほどよく燃えた。消火しなければなりません、その光を見てきみが花火と名づけてから、夏になるとよく火の花が空いっぱいに咲き誇りました、早く消火しなければなりません。 ぼくたちはこの地球が一回転する間の記憶を街やバス停、駅のホームや路上にいくつも隠したね、そして何度も記憶を追い越しては未来に追いつこうとした。踊れ、嬉しいや
花束はどうして、あなたの腕の中を選んだのでしょう 花束はどうして、あなたに美しさを与えたのでしょう 機械があくびをする夜に、花は夢をみて呼吸する あなたもまたあくびをして、花と同じ夢をみる わたしが摂取した薬はとっくにプラトー5を超えた 行く先もない迷路の中をずっと歩いている気分だった 君の愛おしい声だけがわたしの出口だった わたしはどうしてここにいるの? 時間はゆっくり流れていく ときに速く流れていく 口先からこぼれる愛してる この世界の端っこで 渡り合えない二人でも