old man 【散文詩】
花は散ってもきれいだろうか、歳をとったきみの隣でぼくは笑っているだろうか、きみと会えば会うほど、一緒にいればいるほど、きみの知らないことばかりが増えた。詩を書いた机、個展を開いたギャラリーも今はもう無いんだ、気づけばさよならばかりの人生で、みんないつの間にかいなくなる、かろうじて人間の形を保って歩いてきた人生もいつかは終わって逝くのかな、終わった先の暗闇も未来に繋がっていて、またきみに会えるだろうか。
幸せに意味や理由なんて要らないだろう、誰も辿り着けない、真似できない人生をぼくたちは36度5分の体温で歩いている、思い出なんていう形のない過去は雲と空の狭間に消えていき、流れ続ける熱情だけがぼくたちの愛の形だ、ぼくたちに迷いはない。
きみは詩になる、ぼくがいつかきみを忘れてしまいそうになっても、詩を読めばきみを思い出すし、きみも忘れてしまったきみ自身をきっと思い出すよ。
きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野