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スピード強化の準備とは

マラソンレースから逆算して推奨する期分けは以下の通りです。
有酸素能力養成期 6~8週間 
スピード強化準備期 4週間(有酸素期とかぶせる場合は6~8週間まで) ※2~4週間程度は有酸素能力養成期と被っても良い
スピード強化期 4週間
LT閾値強化期 4週間
マラソンペース走力養成期 4週間
調整期 2週間


マラソン練習におけるスピード練習準備期の意義

マラソンは豊富な有酸素能力(スタミナ)が必要なことは前回述べました。
その上で次に手を付けたいのがスピードを養うことです。

まず、なぜ有酸素能力の土台を築いてからスピード練習なのか?を簡単に説明します。
スピード練習にも純粋な無酸素系代謝のものと、有酸素系の解糖に傾いたものがあります。これも前回簡単な生理学として触れました。
運動は酸素を介さない代謝が優位に働く場合と、酸素を介して糖や脂肪の消費が必要な代謝があるだけ。
ただし100m走でも無酸素系代謝が100%ではなく約22%程度が有酸素系の糖由来の代謝が働くと言われています。

長距離選手のスピード能力を測る指標に最大酸素摂取量(VO2max)があるのは聞いたことがあるでしょう。

1分間当たりに取り込む酸素の量を「酸素摂取量」といい、ざっくり言うと、どれだけ多くの酸素を使い速く走れるか?ということで、100%有酸素代謝で最も速く走れるスピードを指すものです。
およそ8分から12分間かけて最も速く走れるという定義から、スポーツテストなんかで12分間走という最大酸素摂取量を推定する測定法も有名です。

3kmを12分間かけてしか走れない人と、8分で3km走れてしまう人、どちらが最大酸素摂取量が多いでしょう。
後者の方が最大酸素摂取量が優れてるのは容易に想像できます。
しかし市民ランナー界隈では3kmを15分切れない人の方がもっともっと多く、マラソン3時間より3時間半、3時間半より4時間とマラソンタイムが長くなるにつれてすそ野も大きくなるのです。
少し話がそれましたが、つまり最大酸素摂取量の能力をレベルアップさせることが出来れば、スピードに対する余裕度は上がると言えます。
そしてこの能力アップには酸素を多く取り込むような練習が必要、それはすなわち速さのレベルを上げた練習に取り組むことが必要。
もっと簡単に言うと、スピードを上げて走る練習を取り入れることでマラソンペースの余裕度を上げる、ここがスピード養う意味があるのです。

しかしスピード練習と言ってもいきなりインターバル走はハードルが高いトレーニング方法です。
そこでスピード練習を行う前にする準備をおこない、スピードが出せる態勢を作ろうというのがこの期の目的になります。
有酸素能力養成期からこのインターバル走へ即シフトしても良いですが、その前に速く走れる動きや筋力、パワーを高めるトレーニングを入れましょうということです。
いきなり速く走ろうとしても身体が即反応してくれなかったりするので、準備期間を設けた方が良いですよってことです。


そこでどういう取り組みをするといいか?本題に入っていきます。

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