自然を見ると集中力や自制心が高まるのか?という論文
自分を律する人は成績がよかった!みたいな論文を読んで「そらそうやろ!!!!」と吠えたくなり、そのテンションで「自制心を高める方法」を探していました。
その中で「自然とのふれあい」が割と盛んに研究されているのを発見。中でも2002年のちょいと古めな論文を読んでみました。
論文リンク:
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0272494401902415
子どもでも自然を見ると集中力や自制心は高まるのか?
草花や山を見ると、なんか気分がスッキリしますよね。そのような「自然」に触れ合うといい感じ〜という研究は1990年代においても盛んに行われていたっぽいです。
でもその多くは大人、もしくは注意力が低い子たちが対象のもの。じゃあ「通常レベルの子ども」が自然を眺めたら何か変わるのか?というのが実験の目的です。
自然を眺めると集中力や自制心が高まる理由
この実験以前の研究を著者がIntroductionでまとめてくれています。中でも興味深かったのが「注意力回復理論」です。
普段生活していると、僕たちは自分の注意力を制御しようと頑張っています。お菓子が目に入っても食べないよう我慢する、休みたいけど仕事終わらせるためにがんばる、などなど。みんな頑張っているわけです。
でも筋肉と一緒で、長時間頑張っていると疲れちまいます。1日中仕事頑張ってたら、集中力も自制心も弱くなっちゃいますよね。
しかし自然環境においては、自分で注意力をコントロールせずともいろんなものに目が行ってしまいます。明るい太陽、揺れ動く葉っぱ、突然飛び立つ虫などなど。
「葉っぱが綺麗だな〜」とふと感じるとき、「よし!!葉っぱを見てやろう!!!」と思う人は少ないですよね。ふと目に入って「あ、きれい」となることが多いハズ。
そのような「不随意の注意」を引き出す刺激に触れることで、自制心を回復させる効果があると言われています。
実験の概要:都心に住む子どもの自己制御能力と自然の関係
以下、実験に関する概要です!要約すると、シカゴの公営住宅に住む170人くらいの子どもを対象に、窓から見える「自然」の量と以下3つに関する質問について回答してもらいました。
集中力: 注意が散漫になるのを抑制し、気が散るもの、退屈、欲求不満、疲労があっても注意を持続させるために必要な能力。集中力が低下すると、学習に多くの時間を費やしても効果が得られにくくなるなど、学業不振のリスクが高まります。
衝動の抑制: 熟考せずに結論に飛びついたり、衝動的に行動したりする傾向を抑える能力。衝動の抑制ができないと、リスクの高い行動 (喫煙や薬物など)、攻撃性や暴力、非行に繋がりやすくなります。
満足を遅らせる能力: 短期的な報酬よりも長期的な目標を優先させる能力。満足を遅らせる能力が低いと、計画外の妊娠など、将来に悪影響を及ぼす可能性のある行動をとってしまうリスクが高まります。
実験結果の概要:女の子の自己制御能力と自然の関係
調査の結果、女の子は集中力・衝動の抑制・満足を遅らせる能力すべての指標において、自然が見える量と相関があったみたいです。
効果量は小さめで、「満足を遅らせる能力」は中程度とのこと。男の子に差が生まれなかったのはおもしろいですね〜。
あくまで相関関係なので、因果関係があるかはこのデータのみではわかりませんが、自然に触れるのっていいですなあ。僕も仕事疲れたら、近所の公園まで積極的に散歩しようと思います。
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