絲山秋子『海の仙人』
宝くじにあたり、会社を辞めて敦賀で一人暮らしをする
主人公河野の目の前に突然現れたのは、ファンタジー。
役立たずの神様だった。
ファンタジーの不思議なところは、
始めて会ったはずなのに、一部の人は
ファンタジーがファンタジーであることを知っていることだった。
過去のトラウマを抱え、女性と積極的に関わろうとしない河野が
心を開けた女性の「かりん」、そして会社の同僚で河野を一途に想い続ける片桐、
その片桐にこれまた一途に心を寄せる、澤田。
場所を転々と変えながら河野を中心に話は進むが、常にそこにファンタジーはいる。
それが誰なのか、何の神さまなのかは、最後まで明確になることはない。
ただ、「海の仙人」を読み終わって思うのは
誰かに寄りかかることから、はやく一歩踏み出さないといけないということ。
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